改訂新版 世界大百科事典 「オッポルツァー」の意味・わかりやすい解説
オッポルツァー
Theodor Ritter von Oppolzer
生没年:1841-86
オーストリアの天文学者。プラハに生まれ,ウィーンで天文学と医学を学び,1865年に医学で学位を取得,のち天文学の研究に専心した。66年からウィーン大学で天文学を講じ,75年に教授となった。すい星,小惑星の軌道決定や軌道改良などの多数の論文があり,その著《すい星と惑星の軌道決定法》全2巻(1882。改訂増補版)はこの方面の当時の知識を集大成したものである。しかし,オッポルツァーの名をもっとも著名にしたのは《食宝典》(1887)である。本書は前1207年4月~後2163年10月のすべての月食(5200個)と,前1208年11月~後2161年11月のすべての日食(8000個)の食要素,状況を網羅したもので,天文学者のみならず年代学者にとっても重要な文献となっている。その子エゴンEgon(1869-1907)も天文学者で,小惑星エロスの変光を発見した。
執筆者:堀 源一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報