日本大百科全書(ニッポニカ) 「おもな四字熟語」の意味・わかりやすい解説
おもな四字熟語
おもなよじじゅくご
四字熟語とは文字通り四つの漢字を連ねてできた熟語である。四字熟語を使うと、文章が格調高くなる。ここでは、新聞等でよく使われたり、中学から大学までの入学試験問題によく出題されたりする四字熟語を五十音順に配列して示した。
(『日本語便利辞典(小学館)』より)
【あ行】
愛別離苦(あいべつりく)
親子・兄弟姉妹・夫婦など愛する人と別れる苦しみ。仏教でいう八苦の一つ。
曖昧模糊(あいまいもこ)
物事の実質や実体がはっきりせず、とらえどころのない様子。
悪戦苦闘(あくせんくとう)
強敵相手に苦しい戦いをすること。転じて、困難な状況の中で、苦しみながら努力すること。
悪口雑言(あっこうぞうごん)
あれこれ悪口を言うこと。散々にののしること。また、そのことば。
暗中模索(あんちゅうもさく)
暗がりの中で、手さぐりで探し求めること。転じて、手がかりのないまま、いろいろと探し求めたり、考えたりすること。
意気軒昂(いきけんこう)
意気込みが盛んであるさま。元気のあるさま。
意気消沈(いきしょうちん)
意気込みが衰え、元気をなくすこと。「意気銷沈」とも書く。
意気衝天(いきしょうてん)
「意気軒昂(いきけんこう)」に同じ。
意気阻喪(いきそそう)
「意気消沈(いきしょうちん)」に同じ。「意気沮喪」とも書く。
意気投合(いきとうごう)
互いの気持ちや考えなどが、ぴったりと一致すること。
意気揚揚(いきようよう)
気持ちが高揚し、得意そうなさま。いかにも誇らしげなさま。
異口同音(いくどうおん)
複数の人が口をそろえて同じことを言うこと。多くの人の意見が一致すること。
意志薄弱(いしはくじゃく)
意志の力が弱く、忍耐、決行ができないこと。がまん強さに欠けること。また、そのさま。
以心伝心(いしんでんしん)
(本来は仏教、特に禅宗で、ことばでは表せない仏法の真髄を、ことばを用いずに師の心から弟子の心へ伝えること)ことばで説明しなくても、互いの思っていることが自然に相手に通じること。
一意専心(いちいせんしん)
ひたすら一つの事に心を集中すること。
一衣帯水(いちいたいすい)
(「衣帯」は帯のこと)ひと筋の帯のように狭い水の流れや海峡。また、そのような水によって隔てられていること。そのような水を隔てて近くにあること。
一期一会(いちごいちえ)
(主人は一生に一度の茶事と思って誠心誠意客をもてなすべきであるという茶道の心構えをしめす語から。茶人、山上宗二の著「山上宗二記―茶湯者覚悟十体」の「一期に一度の会」による)一生に一度会うこと。また、一生に一度限りであること。人との出会いなどの機会を大切にすることのたとえ。
一言一句(いちごんいっく)
「一言半句(いちごんはんく)」に同じ。
一言半句(いちごんはんく)
ほんのわずかなことば。ちょっとしたことば。多く否定文で用いられる。
一日千秋(いちじつせんしゅう)
(「千秋」は千年の意)一日がはなはだ長く感じられること。待ち遠しく思うこと。「いちにちせんしゅう」とも読む。
一念発起(いちねんほっき)
(仏教語の「一念発起菩提心」の略)いままでの行いや考えを改めて、ある事を成し遂げようと決心すること。
一病息災(いちびょうそくさい)
(「無病息災」からできた語)持病の一つぐらいある人の方が、健康な人よりかえって体を大切にして長生きをするということ。
一部始終(いちぶしじゅう)
(「一部」は一冊の書物のこと。本の始めから終わりまでの意から)事の始めから終わりまで。物事の詳しい事情。事のなりゆき。
一望千里(いちぼうせんり)
ひと目で千里の遠くまで見渡されること。広々として見晴らしがよいこと。
一網打尽(いちもうだじん)
一度網を打ちおろしてすべての魚を取り尽くすこと。転じて、一挙に一味の者を残らず捕えること。
一目瞭然(いちもくりょうぜん)
物事の有様が、ひと目見ただけではっきりとわかるさま。
一利一害(いちりいちがい)
利益もある反面、害もあること。
一蓮托生(いちれんたくしょう)
(仏教で、死後、極楽浄土で同じ蓮華(れんげ)の上に生まれること)物事の善悪や結果のよしあしに関係なく、行動や運命を共にすること。
一攫千金(いっかくせんきん)
(「一攫」は一つかみの意。一つかみで千金を得ることから)一度に巨額の利益を得ること。
一喜一憂(いっきいちゆう)
状況が変化するたびに喜んだり心配したりすること。
一気呵成(いっきかせい)
(「呵」は息を吐く意)ひと息に文章などを書き上げること。また物事を一気に仕上げること。
一騎当千(いっきとうせん)
一人で千人の敵に対抗できるほど強いこと。転じて、人並み以上の技術や経験のあること。古くは「いっきとうぜん」とも読む。「一人当千」とも。
一挙一動(いっきょいちどう)
一つ一つの動作。ちょっとした動作や振る舞い。あらゆる動作。「一挙手一投足」も同じ。
一挙両得(いっきょりょうとく)
一つの行動によって、二つの利益を得ること。
一刻千金(いっこくせんきん)
(「蘇軾―春夜詩」による)わずかな時が千金にも値すること。たいせつな時や楽しい時の過ぎやすいのを惜しんでいう。
一切合切(いっさいがっさい)
(同じ意味の「一切」と「合切」を重ねて、その意を強めた語)全部。残らずすべて。「一切合財」とも。
一視同仁(いっしどうじん)
(「韓愈―原人」による)だれかれの差別なく、すべての人を平等に見て一様に愛すること。
一生懸命(いっしょうけんめい)
(中世の武士が、命を懸けて守るべき土地や生活の基盤となる所領を「一所懸命の地」と言ったことから。近世、「所(しょ)」が「しょう」に転じ「生」の字が当てられた)命がけで事にあたること。とても熱心な様子をいう。
一触即発(いっしょくそくはつ)
(ちょっとさわると、すぐ爆発するような状態の意から)小さなきっかけで、すぐある事態が起こりそうな危険な状態。非常に切迫しているさま。
一進一退(いっしんいったい)
進んだり退いたりすること。また、病状や情勢などがよくなったり悪くなったりすること。
一心同体(いっしんどうたい)
複数の人間が心を一つにして、一人の人間のように強く結びつくこと。
一心不乱(いっしんふらん)
ただ一つのことに心を集中して、他のことに注意を奪われないでいるさま。
一世一代(いっせいちだい)
(「一世」も「一代」も人の一生をいう語)一生のうちで、ただ一度であること。それがとても大変なことである、ということを形容する場合に用いる。
一石二鳥(いっせきにちょう)
(一つの石で二羽の鳥をうち落とす意から)一つの事をして、同時に二つの目的を果たすこと。
一致団結(いっちだんけつ)
多く人がある目的のために心を合わせて事にあたること。
一知半解(いっちはんかい)
ちょっと知っているだけで十分にはわかっていないこと。知識が生かじりであること。
一朝一夕(いっちょういっせき)
(「ひと朝やひと晩」の意から)短い期間。わずかの時間。多く打消を伴う表現となる。
一長一短(いっちょういったん)
長所もあるが短所もあること。完全ではないこと。
一刀両断(いっとうりょうだん)
(ひと太刀で物をまっ二つに切ることから)思いきって事を処置すること。ためらうことなく速やかに決断して事を処理すること。
威風堂堂(いふうどうどう)
威厳のある様子が立派に見えるさま。気勢が大いに盛んなさま。
意味深長(いみしんちょう)
言動や表現などについて、内容や趣が深く含蓄があること。また、そのさま。表面の意味のうらに別な深い意味や暗示が隠されていること。また、そのさま。「意味深」と略しても用いる。
因果応報(いんがおうほう)
(仏教語。「因果」は原因と結果)よいことをすればよい結果があり、悪いことをすれば悪い結果があること。現在では悪い意味に用いることが多い。
慇懃無礼(いんぎんぶれい)
丁寧すぎて、かえって無礼になること。また、相手に対することばや態度などが、表面はきわめて丁寧であるが実ははなはだ尊大であること。
有為転変(ういてんぺん)
(「有為」は仏教語で、因縁の和合によって作られている恒常でないものや現象のこと。すなわち、この世のすべての物事)この世のすべての物事は、すこしもとどまることなく常に移り変わっていくということ。この世のはかなさを表す。古くは「ういてんべん」とも読んだ。「有為無常」とも。
有為無常(ういむじょう)
「有為転変(ういてんぺん)」に同じ。
右往左往(うおうさおう)
多くの人が右へ行ったり左へ行ったりして混乱するさま。混乱して秩序のないさま。
有象無象(うぞうむぞう)
(仏教語の「有相無相(うぞうむぞう)=この世にある有形無形すべてのものの意」からか)種々雑多なくだらない人間や物。
内股膏薬(うちまたごうやく)
(「膏薬」は薬品を動物のあぶらにまぜて練った外用薬。膏薬を内股に張ると膏薬が左右どちらの股にも張り付くことから)都合しだいで、あちらにつきこちらにつきして態度が一定しないこと。また、そのような人。定見や節操のない人を軽蔑して言うことば。「二股膏薬」とも。
海千山千(うみせんやません)
(海に千年、山に千年住みついたヘビは竜になるという言い伝えから)世の中の経験を十分に積み、物事の裏面にまで通じてずるがしこいこと。また、そのような人。
紆余曲折(うよきょくせつ)
(「紆余」は川や丘などが曲がりくねっているさまの意)道などが曲りくねっていること。転じて、事情がこみいっていて、いろいろと変化すること。
雲散霧消(うんさんむしょう)
雲や霧が風や日の光にあたって、あとかたもなく散ったり消えたりするように、物事が消えてなくなること。
栄枯盛衰(えいこせいすい)
(「栄枯」は草木が茂ることと枯れること)栄えたり衰えたりすること。隆盛と衰退が交互に訪れるさまを表す。
傍目八目(おかめはちもく)
(局外から他人の囲碁を見ると、打っている人よりも形勢がよくわかる意から)側で見ている者のほうが、当事者よりかえって物事の真相や利害得失がよくわかるということ。「岡目八目」とも書く。
温厚篤実(おんこうとくじつ)
性質が穏やかで誠実であるさま。情に篤く誠実みにあふれているさま。
温故知新(おんこちしん)
(「論語」の「故(ふる)きを温(たず)ね、新しきを知る」から)昔のことを研究して、そこから新しい知識や道理を見つけ出すこと。
音信不通(おんしんふつう)
便りや連絡が全くないこと。連絡がなく相手の様子が全くわからないこと。「いんしんふつう」とも読む。
【か行】
開口一番(かいこういちばん)
口を開くとまず初めに。話を始めるや否や。
外柔内剛(がいじゅうないごう)
表面は穏やかそうに見えるが、実際は意志が強いこと。また、そのさま。表面はやさしそうだが、内面は強いこと。また、そのさま。「内柔外剛」はその反対。
下意上達(かいじょうたつ)
下の人の心情、考えが上の人の耳に達すること。「上意下達」はその反対。
偕老同穴(かいろうどうけつ)
(「詩経」による。「偕老」はともに老いること、「同穴」は同じ穴に葬られること)夫婦が仲睦まじいこと。夫婦の契りのかたいこと。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
(中国の春秋時代、越との戦争で敗死した呉王闔盧(こうりょ)の子の夫差(ふさ)は、薪の上に臥して身を苦しめることによって父を討った越王勾践(こうせん)に対する復讐の心を忘れないようにし、ついに勾践を討ち破った。敗れた勾践は、苦い胆を室にかけてそれをなめては敗戦の恨みを思い返し、ついには夫差を滅ぼしたという、「史記」「十八史略」「呉越春秋」などにみえる故事から)仇を討つために大変な苦労、努力をすること。目的を成し遂げるために、努力を続けること。
佳人薄命(かじんはくめい)
(「蘇軾―薄命佳人詩」から)容姿が美しく生まれついた人は数奇な運命にもてあそばれて不幸であったり、生まれつき病弱で早死にしたりするということ。「美人薄命」とも。
花鳥風月(かちょうふうげつ)
自然の美しい風物。また、それらを鑑賞したり、材料にして詩歌や絵画などを創作したりする風雅な遊び。
合従連衡(がっしょうれんこう)
(中国の戦国時代、強国の秦に対抗するためにとられた政策から。「合従」は、南北に広がる趙・魏・楚・斉・燕・韓の六国に同盟を結ばせるという蘇秦(そしん)が唱えた政策、「連衡」は、六国がそれぞれ西の秦と同盟を結ぶという張儀(ちょうぎ)が唱えた政策)時々の利害によって他の勢力と結び付いたり離れたりする政策。はかりごとを巧みにめぐらした外交政策をもいう。「合縦連衡」とも書く。
我田引水(がでんいんすい)
(自分の田に水を引き入れる意から)自分の利益になるように考えたり、取り計らったりすること。手前勝手なこと。「わが田に水を引く」ともいう。
画竜点睛(がりょうてんせい)
(中国、梁の画家が寺の壁に竜の絵をえがき、最後に睛(ひとみ)を書き入れたら、たちまち竜が天に飛び去ったという「歴代名画記」の故事から)物事の眼目、中心となる大切なところ。最後に大切な事を付け加えて、物事を完全に仕上げること。「がりゅうてんせい」とも読む。
感慨無量(かんがいむりょう)
はかりしれないほど身にしみること。何ともいえないほど、深く感じ入ること。また、そのさま。略して「感無量」とも。
侃侃諤諤(かんかんがくがく)
(「諤」はありのままを遠慮なく言う意)正しいと思うことを遠慮することなくはっきりと言うこと。大いに議論すること。また、そのさま。
頑固一徹(がんこいってつ)
自分の考えや態度などを少しもまげずに押し通すさま。非常に頑ななさま。また、そのような人。
換骨奪胎(かんこつだったい)
(骨を取りかえ、胎[子の宿る所]を自分のものとする意。中国の「冷斎夜話」による語から)先人の詩文などの発想や表現法を借りながら、創意工夫を加えて独自の作品を作りあげる技法。誤用されて、他人の作品の焼き直しの意にも用いることがある。
冠婚葬祭(かんこんそうさい)
元服と結婚と葬儀と祖先の祭礼のこと。日本古来の四大礼式。慶弔儀式一般にもいう。
勧善懲悪(かんぜんちょうあく)
善い行いを褒め勧め、悪い行いを戒め懲らすこと。
完全無欠(かんぜんむけつ)
不足や欠点が全く無いこと。また、そのさま。
艱難辛苦(かんなんしんく)
辛い目や困難な目にあって苦しみ悩むこと。たいへんな苦労。
閑話休題(かんわきゅうだい)
本筋からそれていた話や無駄話をやめること。話を本筋に戻すときに用いる語。さて。それはさておき。
危機一髪(ききいっぱつ)
髪の毛一本ほどのわずかな違いで危険な状態になりそうなこと。一つ間違えば危険に陥りそうな瀬戸際。
奇奇怪怪(ききかいかい)
(「奇怪」の「奇」と「怪」をそれぞれ重ねて意味を強めた語)非常に怪しく不思議なこと。また、そのさま。
起死回生(きしかいせい)
死にかかっているものや滅びかかっているものを再び生きかえらせること。転じて、今にもだめになりそうな物事が勢いを盛り返すこと。
起承転結(きしょうてんけつ)
漢詩の構成法の一つ。絶句では第一句が起、第二句が承、第三句が転、第四句が結。律詩では、第一・第二両句が起、第三・第四両句が承、第五・第六両句が転、第七・第八両句が結。起は詩意を起こし、承は起句を受け、転は一転して別の境地を開き、結は一編全体の意を結合する。詩以外の文章にも応用され、物事の構成や順序についてもいう。古くは「起承転合」という。
喜色満面(きしょくまんめん)
うれしそうな表情が顔全体にあらわれていること。また、そのさま。
疑心暗鬼(ぎしんあんき)
(「疑心暗鬼を生ず」の略。「列子」による。心に疑いをもっていると、暗やみの中にありもしない鬼の形を見るという意から)疑いの心があると、何でもないことまで恐ろしく感じたり疑わしく思えたりすること。
奇想天外(きそうてんがい)
(「奇想天外より落つ」の略)考えなどが思いもよらないような奇抜なこと。また、そのさま。
気息奄奄(きそくえんえん)
(「李密―陳情表」による)息も絶え絶えなさま。今にも死にそうなさま。転じて、国家や組織などが今にも滅びそうなさま。
喜怒哀楽(きどあいらく)
喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。また、人間のさまざまな感情。
牛飲馬食(ぎゅういんばしょく)
(牛のように水を飲み、馬のように物を食べるということから)多量に飲んだり食べたりすること。
旧態依然(きゅうたいいぜん)
古い状態のままで、進歩や発展のないさま。
急転直下(きゅうてんちょっか)
事態や、情勢などが大きく急激に変化すること。また、急に事態が変わって、結末、解決に向かうこと。
共存共栄(きょうそんきょうえい)
複数のものがともに生存し、ともに繁栄すること。「きょうぞんきょうえい」とも読む。
驚天動地(きょうてんどうち)
(「白居易―李白墓詩」による)世間をひどく驚かすこと。
器用貧乏(きようびんぼう)
どのようなことでも一応は上手にできるため、かえって一つの事に集中できずに大成しないこと。
興味津津(きょうみしんしん)
(「津津」は絶えず湧き出るさまをいう)非常に興味が感じられるさま。興味がつきないさま。「興味索然」はその反対。
興味本位(きょうみほんい)
おもしろいかどうかだけを判断の基準にする傾向。
虚虚実実(きょきょじつじつ)
(「虚」は防備のすき、「実」は堅い防備のこと)互いに、計略や秘術を尽くして渡り合うこと。
玉石混淆(ぎょくせきこんこう)
良いものと悪いもの、また、すぐれたものとつまらないものとが混ざり合っていること。「玉石混交」とも書く。
挙国一致(きょこくいっち)
国民全体が心を一つにして同じ態度をとること。
虚心坦懐(きょしんたんかい)
心になんのわだかまりもなく、気持がさっぱりしていること。また、そのさま。
毀誉褒貶(きよほうへん)
(「毀」はそしる、「誉・褒」はほめる、「貶」はけなすの意)ほめることとけなすこと。世間の評判にもいう。
議論百出(ぎろんひゃくしゅつ)
さまざまな議論が戦わされること。多くの意見が出ること。
金科玉条(きんかぎょくじょう)
(「揚雄―劇秦美新」による)きわめて大切な法律や重要な規則。守るべききまり。現代では、自分の主張や立場を守るための、絶対のよりどころの意に用いる。
謹厳実直(きんげんじっちょく)
慎み深くてまじめであること。また、そのさま。
空前絶後(くうぜんぜつご)
過去にも例がなく、これから後にも起こりそうもないこと。非常に珍しいこと。
苦心惨憺(くしんさんたん)
非常に苦心して工夫をこらすこと。
群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)
数多くの英雄がそれぞれの拠点で勢力を張り、それぞれ対立して争うこと。
軽挙妄動(けいきょもうどう)
軽はずみな行動をすること。軽率なふるまいや行動。
軽佻浮薄(けいちょうふはく)
言動が軽はずみであさはかなこと。また、そのさま。
月下氷人(げっかひょうじん)
(唐の韋固(いご)が月夜に会った老人から将来の妻の予言をされたという「続幽怪録」による「月下老人」の故事と、晋の令(れい)狐策(こさく)が氷の上で氷の下にいる人と話をした夢を占者に占ってもらったところ、結婚の仲人をする前兆だといわれ実際その通りになったという「晋書」による「氷人」の故事から)男女の縁をとりもつ人。媒酌人、仲人のこと。
喧喧囂囂(けんけんごうごう)
やかましく騒がしいさま。多くの人が口やかましく騒ぎたてるさま。
言行一致(げんこういっち)
言っていることと実際の行動とが同じであること。
乾坤一擲(けんこんいってき)
(「韓愈―過鴻溝」による。さいころを投げて、天が出るか地が出るかを賭けることから)運命をかけていちかばちかの大勝負をすること。「一擲乾坤」ともいう。
捲土重来(けんどちょうらい)
(「杜牧―題烏江亭詩」による。「捲土」は土煙をまき上げること)一度負けた者が勢力を盛り返して再び攻め寄せること。転じて、一度失敗した者が再起すること。「けんどじゅうらい」とも読む。
堅忍不抜(けんにんふばつ)
どんな困難にもじっとこらえて心のぐらつかないこと。
権謀術数(けんぼうじゅっすう)
相手をたくみにあざむくはかりごと。種々の計略をめぐらすこと。「権謀術策」ともいう。
絢爛豪華(けんらんごうか)
「豪華絢爛(ごうかけんらん)」に同じ。
行雲流水(こううんりゅうすい)
(「宋史」による)空を行く雲と流れる水のように、自然のまま滞りなく動くこと。自然のまま、なりゆきにまかせて行動すること。
豪華絢爛(ごうかけんらん)
ぜいたくで、きらびやかであること。きらきら輝いて華やかなこと。また、そのさま。「絢爛豪華」とも。
効果覿面(こうかてきめん)
目の前に効果がはっきりと現れること。ある事柄の効果が即座に現れること。
厚顔無恥(こうがんむち)
あつかましく、恥を恥とも思わないこと。また、そのさま。
巧言令色(こうげんれいしょく)
(「論語」による)ことばを飾り顔色をとりつくろうこと。転じて、口先だけのことを言って他の歓心を買うさま、こびへつらうさまにいう。
公私混同(こうしこんどう)
公の物事と私的な物事とを区別しないこと。
公序良俗(こうじょりょうぞく)
公共の秩序と善良な風俗や習わし。社会一般に認められる道徳観。
黄塵万丈(こうじんばんじょう)
(「黄塵」は黄砂による黄色い土埃)黄色い土けむりがもうもうと空高く立ちのぼること。
広大無辺(こうだいむへん)
広さ、大きさなどが限りないこと。広くてはてしないこと。また、そのさま。
荒唐無稽(こうとうむけい)
言説に根拠がなくて、とりとめもないこと。でたらめであること。また、そのさま。
公平無私(こうへいむし)
行動や判断が公平で個人的な感情や利益をからませないこと。また、そのさま。
豪放磊落(ごうほうらいらく)
気持ちが大きく快活で小事にこだわらないさま。
公明正大(こうめいせいだい)
公平で隠し事がなく、正しく堂々としていること。また、そのさま。
呉越同舟(ごえつどうしゅう)
(中国の春秋時代に敵同士であった呉の国と越の国の人でも、同じ舟に乗り合わせ嵐にあえば互いに助け合って危機を乗り越えようとするという、「孫子―九地」にみえる故事から)仲の悪い者同士や敵味方が、同じ場所に居合わせること。また、反目し合いながらも共通の困難や利害に対して協力し合うことのたとえ。
極悪非道(ごくあくひどう)
この上なく悪く、道理や人の道にはずれること。また、そのさま。
国士無双(こくしむそう)
(「史記」による)国中で並ぶ者のないほどすぐれた人物。
孤軍奮闘(こぐんふんとう)
孤立した少数の軍勢で必死に戦うこと。また、援助するものもない中で、一人で懸命に努力すること。
五穀豊穣(ごこくほうじょう)
(「五穀」は米・麦・アワ・豆・キビの五種類の穀物)穀物が豊かに実ること。豊作であること。
古今東西(ここんとうざい)
昔から今までと、東西四方のすべての場所。いつでも、どこでも。
古今無双(ここんむそう)
昔から今までに並ぶものがないこと。また、そのさま。
虎視眈眈(こしたんたん)
(「易経」による)虎が獲物を鋭い目でねらっているさま。転じて、機会を狙って情勢を静かにうかがっているさまをいう。
後生大事(ごしょうだいじ)
(仏教語で「後生」は来世のこと)来世の安楽を最も大切にし、信心を忘れないこと。転じて、いつも心をこめてつとめ励むこと。また、非常に大切にすること。
古色蒼然(こしょくそうぜん)
いかにも年月を経たように見えるさま。ふるびた趣の表れているさま。
故事来歴(こじらいれき)
昔から伝わってきた事物についてのいわれや歴史。また、物事がそういう結果になった先例や理由。
五臓六腑(ごぞうろっぷ)
漢方で、肺・心臓・脾臓・肝臓・腎臓の五臓と、大腸・小腸・胃・胆・膀胱・三焦の六腑をいう。内臓の総称。転じて、体内や腹の中、心中のすべて。
五風十雨(ごふうじゅうう)
(五日ごとに一度風が吹き、十日ごとに一度雨が降る意)気候が順当なこと。転じて、世の中が太平なこと。
孤立無援(こりつむえん)
一人ぼっちで、援助をしてくれる者もいない状態であること。
五里霧中(ごりむちゅう)
(中国、後漢の張楷(ちょうかい)が五里霧という術で五里四方に霧をわかせたという「後漢書」による故事から)深い霧の中で方角もわからない状態。転じて、物事の事情がまったくわからず、どうしてよいかわからなくなってしまうこと。手さぐりで進むことのたとえ。
言語道断(ごんごどうだん)
(仏教語で、仏教の深遠な真理はことばではとても言い表せないということ)転じて、あまりひどくてことばも出ないほどであること。きわめて悪くて、何ともいいようがないこと。
【さ行】
才気煥発(さいきかんぱつ)
頭の働きがよく、活発で目立つこと。そのすぐれた能力が外に現れること。また、そのさま。
再三再四(さいさんさいし)
(「再三」を強めていう語)ある動作がくりかえし何度も行われるさま。たびたび。何度も何度も。
才色兼備(さいしょくけんび)
すぐれた才能と美しい容貌とをもっていること。普通、女性に対して用いられる。
左顧右眄(さこうべん)
(「顧」は振り返って見ること、「眄」はながし目で見ること。左を見たり右を見たりする意から)周囲を気にしてばかりいて、はっきりした態度がとれないこと。他人の意見や様子を気にしてばかりいて、自分の判断ができず迷うこと。「右顧左眄」とも。
三寒四温(さんかんしおん)
冬の気象をいう語。寒い日が三日続くとその後四日ほど温暖な日が続き、これが繰り返されること。徐々に暖かくなっていくことにもいう。
三三五五(さんさんごご)
(「李白―采蓮曲」による)あちらに三人、こちらに五人というように人が小さくかたまっているさま。また、あちらこちらに家などが散在しているさま。
山紫水明(さんしすいめい)
日に映じて、山は紫に、水は澄んで清らかにはっきりと見えること。自然の景色の美しいこと。
残念無念(ざんねんむねん)
非常に心残りであること、非常に悔しく思うこと。また、そのさま。
三拝九拝(さんぱいきゅうはい)
三拝の礼と九拝の礼。何度も繰り返し礼拝して、敬意をあらわすこと。転じて、何度も頭をさげて人に物事を頼むこと。手紙文で、末尾にしるして深い敬意を表す挨拶の語。
三面六臂(さんめんろっぴ)
(一つの体に三つの顔と六つのひじを持つ仏像から)一人で数人分の働きをすること。多方面にめざましい活躍をすることのたとえ。「八面六臂」とも。
四角四面(しかくしめん)
真四角をいう。転じて、きちんとしすぎて堅苦しいこと。厳格なこと。また、その人やそのさま。
自画自賛(じがじさん)
自分の描いた絵に自分で賛を書くこと。転じて、自分の行為や自分自身をほめること。
時期尚早(じきしょうそう)
ある事を行う時期としては、まだ早すぎること。また、そのさま。
色即是空(しきそくぜくう)
(仏教語。「般若心経」から。「色」はこの世にあるすべてのものの意)この世のすべて形あるものは、その本質においてはみな実体がないもの(=空)であるということ。何事にも執着するべきではないということ。「空即是色」とも。
自給自足(じきゅうじそく)
必要なものを自分で生産してまかなうこと。
四苦八苦(しくはっく)
(仏教語。「四苦」は生・老・病・死、「八苦」はそれに、怨憎会苦・愛別離苦・求不得苦・五陰盛苦を合わせたもの)人間のあらゆる苦しみの称。転じて、非常に苦しむこと。
試行錯誤(しこうさくご)
(英語 trial and errorの訳語。心理学の用語から)課題が困難で、解決の見通しが容易に立たない場合、試みと失敗を重ねながら次第に解決していくこと。
自業自得(じごうじとく)
仏教語で、自分の行為による報いを自分の身に受けること。また一般に、自分の行為の結果を自分の身が受けること。
自己矛盾(じこむじゅん)
自分自身の中で、言動や論理のつじつまが合わないこと。
自作自演(じさくじえん)
自分で脚本や曲などを書き自分で演じたり演奏したりすること。また一般に、自分一人で計画をたて実行すること。
時時刻刻(じじこくこく)
その時その時。時間が過ぎていくさま。また、副詞として、しだいに、の意にも用いられる。
子子孫孫(ししそんそん)
子孫の末の末。子孫の続く限り。古くは「ししそんぞん」とも読む。
事実無根(じじつむこん)
事実であるという根拠がないこと。少しも事実に基づいていないこと。
獅子奮迅(ししふんじん)
(獅子が激しく奮い立つという意から)物事に対処するのに、その勢いのはなはだ激しいこと。また、勇猛に行動すること。
自縄自縛(じじょうじばく)
(自分の縄で自分を縛る意)自分の考えや言動によって、自分自身が動きがとれなくなり苦しむこと。
時代錯誤(じだいさくご)
異なる時代の現象・事件・人物・思考などを、歴史の流れを考慮しないで結びつけて理解する誤り。一般には、時代の流れに逆行した古くさい考えや行動についていう。
舌先三寸(したさきさんずん)
心がこもらず、口先だけであること。また、そのことば。
七転八倒(しちてんばっとう)
(「朱子語類」による)苦痛のあまりころげまわること。また、ころげまわるような苦しみや混乱のはなはだしいことのたとえにいう。「しってんばっとう」とも読む。
四通八達(しつうはったつ)
道路がどの方面へも通じていること。転じて、繁華な土地。人の往来の賑やかなところ。
質実剛健(しつじつごうけん)
飾り気がなく、まじめで、強く、しっかりしていること。また、そのさま。
叱咤激励(しったげきれい)
大きな声で励まして気を奮い立たせること。
四分五裂(しぶんごれつ)
(「戦国策」による)いくつにも裂けわかれてばらばらになること。秩序をなくして乱れること。「しぶごれつ」とも読む。
自暴自棄(じぼうじき)
(「孟子」による)物事が思いどおりにならないために、自分で自分の身を粗末に扱い、先の事を考えないなげやりな行動をすること。やけくそになること。また、そのさま。
四方八方(しほうはっぽう)
(「四方」は東・西・南・北の四つの方角、「八方」はそれに北東・北西・南東・南西を加えた八つの方角)あらゆる方面。あちらこちら。
四面楚歌(しめんそか)
(楚の項羽(こうう)が漢の劉邦(りゅうほう)に包囲されたとき、四面の漢軍の中から楚国の歌がおこるのを聞いて、楚の民がもはや多く漢軍に降服したかと思って驚き嘆いたという「史記」の故事から)敵の中に孤立して、助けのないこと。周囲が敵、反対者ばかりで味方のないことのたとえ。
杓子定規(しゃくしじょうぎ)
(柄が曲がっている杓子を定規の代用にする意で、誤った基準でものをはかろうとすることの意から)一定の基準で他を律しようとすること。きまりきった考えや形式にとらわれて、応用や融通のきかないこと。
弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)
(「韓愈―送浮屠文暢師序」による)力の弱いものが強いものの餌食になること。強者が弱者を征服して栄えること。「優勝劣敗」とも。
遮二無二(しゃにむに)
後先を考えず、がむしゃらに物事に向かうさま。むやみに。
縦横無尽(じゅうおうむじん)
自由自在であること。思う存分であること。また、そのさま。
自由闊達(じゆうかったつ)
心が広く、物事にこだわらず思いのままにのびのびとしていること。また、そのさま。
衆議一決(しゅうぎいっけつ)
多くの人々の評議、議論によって、意見が一致し決定すること。
終始一貫(しゅうしいっかん)
始めから終わりまで同じ態度であること。周囲の状態が変わっても、考えや態度を変えないこと。
自由自在(じゆうじざい)
自分の思いのままにすること。また、そのさま。
周章狼狽(しゅうしょうろうばい)
大いにあわてふためくこと。うろたえ騒ぐこと。
衆人環視(しゅうじんかんし)
大勢の人が取り巻いて見ていること。皆がみつめていること。
秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)
(秋の霜と夏の強い日光。ともに激しく厳しいものであるところから)権威、刑罰などが非常に厳しいことのたとえ。
十人十色(じゅうにんといろ)
好みや考えなどは、人によってそれぞれみな異なるということ。
十年一日(じゅうねんいちじつ)
長い期間ずっと同じ状態にあること。「じゅうねんいちにち」とも読む。
十年一昔(じゅうねんひとむかし)
十年たてば、一応、昔のこととなるということ。だいたい十年を一区切りとして、社会を見たとき、その間に著しい変化があるということ。
主客転倒(しゅかくてんとう)
主人と客の立場が逆になること。転じて、物事の順序、軽重などが逆になること。「しゅきゃくてんとう」とも読む。
熟読玩味(じゅくどくがんみ)
(「小学」による)文章をよく読んで、その意味を十分に味わうこと。
取捨選択(しゅしゃせんたく)
ある基準により、選び取ったり捨てたりすること。多くのものの中からよいものや必要なものを選び取ること。
酒池肉林(しゅちにくりん)
(「史記」にみえる故事から。「酒池」は酒をたたえた池、「肉林」は肉をかけた林の意)贅沢をきわめた酒宴をいう。
出処進退(しゅっしょしんたい)
官に仕えることと退くこと。また、その職にとどまることと辞職すること。身の振り方。
首尾一貫(しゅびいっかん)
主義や態度などが始めから終わりまで変らずに同じであること。「終始一貫」とも。
純真無垢(じゅんしんむく)
心にけがれや邪念がなく清らかなこと。また、そのさま。
春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)
春の風がのどかに吹くさま。転じて、何事もなく穏やかなさま。また、人の態度や性格などが温和なさま。
順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
(船が帆に追い風をいっぱいに受けて快く進むことから)物事が非常に順調であること。また、そのさま。
上意下達(じょういかたつ)
上の者の考えや命令を下の者に伝えること。「下意上達」はその反対。
盛者必衰(じょうしゃひっすい)
仏教語。勢いの盛んな者も必ず衰える時がくるということ。この世の無常であることをいう。「しょうじゃひっすい」「しょうしゃひっすい」「せいしゃひっすい」とも読む。
常住坐臥(じょうじゅうざが)
(仏教語、「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」の「行住」を「常住」と混同して用いられるようになった語。「行住」は歩くことと止まること、「坐臥」は座る事と横になること。日常の動作の意から)日常普通の時。ふだん常々。いつも。
正真正銘(しょうしんしょうめい)
まったく偽りのないこと。まちがいなく本物であること。古くは「しょうじんしょうめい」とも読んだ。
小心翼翼(しょうしんよくよく)
(「詩経」による)慎み深く、小さなことにまで気を配るさま。転じて、気が小さくてびくびくしているさま。
枝葉末節(しようまっせつ)
物事の本質からはずれた細かな部分。主要ではない物事。
生老病死(しょうろうびょうし)
仏教で、人間として避けられない四つの苦しみ。生まれること、老いること、病気になること、死ぬことの総称。四苦。
諸行無常(しょぎょうむじょう)
仏教で、世の中に現れるすべての現象は常に変化し生滅して、永久に変わらないものはないということ。仏教の根本的主張である三法印の一つ。
初志貫徹(しょしかんてつ)
最初に思い立った志を最後まで貫き通すこと。
白川夜舟(しらかわよふね)
(京都に行ったことのない人が地名の白川(または舟の通わない谷川の名とも)のことを問われ、夜、眠っている間に船で通ったから知らないと答えたという話による)いかにも知っているような顔をすること。知ったかぶりをすること。また、ぐっすり寝込んでいて何が起こったか全く知らないこと。「白川夜船」「白河夜舟」「白河夜船」とも書く。
支離滅裂(しりめつれつ)
ばらばらでまとまりがつかないこと。言動などの筋道が立たないで、めちゃくちゃなこと。また、そのさま。「理路整然」はその反対。
思慮分別(しりょふんべつ)
注意深く心を働かせ、物事の道理や善悪などを判断すること。
四六時中(しろくじちゅう)
(四に六を掛けると二十四になることから。一日が十二刻であった時代の「二六時中」を現在の二十四時間に直した言い方)二十四時間中。一日中。いつも。
心機一転(しんきいってん)
ある事をきっかけに、気持がすっかり変わること、また、変えること。
人事不省(じんじふせい)
昏睡状態に陥ること。意識不明になること。
神出鬼没(しんしゅつきぼつ)
(鬼神のように自由自在に出没することから)非常にすばやく現れたり隠れたりすること。不意に現れたり姿を隠したりして、容易に居所がわからないこと。また、そのさま。
信賞必罰(しんしょうひつばつ)
功労のある者には必ず賞を与え、罪を犯した者は必ず罰すること。
針小棒大(しんしょうぼうだい)
(針ほどの小さいものを棒ほどに大きく言うことから)物事をおおげさに言うこと。また、そのさま。
人心一新(じんしんいっしん)
人の気持ちや考えをすっかり新しいものに変えること。
新進気鋭(しんしんきえい)
その分野に新しく現れて勢いが盛んで鋭いこと。また、そのさま。そのような人。
人跡未踏(じんせきみとう)
いまだかつて人が通ったことがないこと。人がまだ足を踏み入れてないこと。
新陳代謝(しんちんたいしゃ)
(「陳」は古いもの、「謝」は去る意)古いものが次第になくなって、新しいものがそれと入れ代わること。生体内で、必要な生活物質が摂取され、不用物は排泄される作用。
深謀遠慮(しんぼうえんりょ)
(「賈誼―過秦論」による)はるか先のことまで深く考えて計画を立てること。「遠慮深謀」「遠謀深慮」とも。
人面獣心(じんめんじゅうしん)
(「漢書」による。顔は人間であるが、心は獣に等しいという意から)恩義を知らない人、冷酷非情な人や義理人情をわきまえない人。「にんめんじゅうしん」とも読む。
森羅万象(しんらばんしょう)
宇宙間に数限りなく存在するいっさいの物事。
頭寒足熱(ずかんそくねつ)
頭部は冷えていて足部は暖かいこと。また、そういう状態にすること。古来、健康によい状態といわれる。
晴耕雨読(せいこううどく)
晴れた日には外に出て田畑を耕し、雨の日には家にこもって読書をすること。悠々自適の境遇をいう。
正正堂堂(せいせいどうどう)
(「孫子」による)軍隊の陣容が整っていて勢いが盛んなさま。転じて、態度が正しく立派なさま。卑怯な手段をとらず立派であるさま。
青天白日(せいてんはくじつ)
青く晴れわたった日和。快晴の天気。転じて、心に包み隠すことがないこと。やましいことがないこと。また、無罪が明らかになること。
清廉潔白(せいれんけっぱく)
心や行いが清くて正しく、私欲を図ったり不正をしたりすることのないこと。また、そのさま。
是是非非(ぜぜひひ)
(「荀子」による)よい事はよいとし、悪い事は悪いとすること。公平な立場で判断すること。
切磋琢磨(せっさたくま)
(骨や角、石や玉などを切り磨く意から)学問や道徳、技芸、人間性などをみがき上げること。仲間同士互いに競いあい、励ましあって向上すること。
切歯扼腕(せっしやくわん)
(「史記」による。歯ぎしりをして腕をにぎりしめることの意から)激しく怒ったりくやしがったりする様子にいう。
絶体絶命(ぜったいぜつめい)
(「絶体」「絶命」はともに九星占いでいう凶星の名)どうしてものがれようのないせっぱ詰まった立場や状態にあること。進退きわまること。また、そのさま。
千客万来(せんきゃくばんらい)
多数の客が入れかわり立ちかわり来て絶えまがないこと。
千軍万馬(せんぐんばんば)
多くの兵士と多くの軍馬。多くの戦場をめぐって、戦闘の経験が豊富であること。転じて、社会経験などが豊かであること。
千言万語(せんげんばんご)
多くのことば。あれこれと多くのことばを口にすること。
前後不覚(ぜんごふかく)
前後の区別がつかなくなるほど正体を失うこと。正常な判断ができなくなること。また、そのさま。
千載一遇(せんざいいちぐう)
千年に一度しかめぐりあえないこと。そのようなまたとないすばらしい機会。
千差万別(せんさばんべつ)
さまざまのちがいがあること。多くの差異があること。また、そのさま。「せんさまんべつ」とも読む。
全身全霊(ぜんしんぜんれい)
体と精神のすべて。その人のもっている体力と精神力のすべて。
前人未到(ぜんじんみとう)
これまで誰も到達した人がいないこと。今まで誰も成し遂げていないこと。「前人未踏」とも書き、その場合は、今まで誰も足をふみ入れたことがないということ。
前代未聞(ぜんだいみもん)
今までに一度も聞いたことがないこと。これまでに一度も耳にしたことがないような珍しいこと。
全知全能(ぜんちぜんのう)
完全で、欠けるところのない知能と能力。すべてのことを理解し、あらゆることを行うことのできる能力。
前途多難(ぜんとたなん)
これから先や将来に困難が多くあること。また、そのさま。
前途有望(ぜんとゆうぼう)
将来に望みや見込みがあること。また、そのさま。
前途洋洋(ぜんとようよう)
将来が大きく開けていて希望が持てること。また、そのさま。
千篇一律(せんぺんいちりつ)
多くの詩がどれも同じ調子で変化のないこと。転じて、多くの物事がみな同じ調子で変化がないこと。変化がなく、おもしろみがないこと。また、そのさま。
千変万化(せんぺんばんか)
物事や状況などが次々とさまざまに変化すること。「せんべんばんか」とも読む。
粗衣粗食(そいそしょく)
粗末な衣服と粗末な食べ物。簡素な生活のたとえ。
創意工夫(そういくふう)
いろいろ思案して、新しい物事やよい方法を考え出すこと。また、その物事や方法。
相思相愛(そうしそうあい)
互いに愛し合っていること。
速戦即決(そくせんそっけつ)
開戦とともに、素早く戦勝を決定づけようとすること。持久戦に対していう。転じて、闘争や論争などで、短時間で決着をつけることにもいう。
粗製濫造(そせいらんぞう)
粗雑な作り方をした品物をやたらに多く作ること。「粗製乱造」とも書く。
即決即断(そっけつそくだん)
その場で判断してすぐに決定すること。「即断即決」とも。
【た行】
大願成就(たいがんじょうじゅ)
大きな願いがかなうこと。
大器晩成(たいきばんせい)
(「老子」による。大きなうつわは完成するのに時間がかかることから)大人物はその器量を現すのに時間がかかるということ。
大義名分(たいぎめいぶん)
人として、または、臣民として守らなければならない根本的な道理と分限。転じて、行いの基準となる根拠、理由づけ。
大言壮語(たいげんそうご)
実力もないのに、実行できそうもないことや大きなことを言うこと。また、そのことば。「壮言大語」とも。
大所高所(たいしょこうしょ)
小さいことにこだわらずに大局的に物事を見る立場。私情や偏見を入れない広い視野。「高所大所」とも。
泰然自若(たいぜんじじゃく)
落ち着いて物事に動じないさま。
大胆不敵(だいたんふてき)
度胸がすわっていて物に動じないこと。大胆で敵するものがないこと。また、そのさま。
大同小異(だいどうしょうい)
(「荘子」による)大体は同じで、少しだけ違っていること。こまかな部分は異なっているが、全体としては似たりよったりであること。大差ないこと。また、そのさま。
大同団結(だいどうだんけつ)
多くの団体や党派が、考え方などの細部に違いはあっても、一つの目的のもとに一致し団結すること。
多士済済(たしせいせい)
(「詩経」による)すぐれた人が多くいること、また、そのさま。「たしさいさい」とも読む。
多事多難(たじたなん)
事件や災難、困難なことが多いこと。また、そのさま。
脱亜入欧(だつあにゅうおう)
アジアを離れ、ヨーロッパの仲間入りをすること。アジアの軽視と、ヨーロッパの重視という姿勢をみせた明治以降の日本の風潮を評していう。
他力本願(たりきほんがん)
仏教で、自己の修行の功徳によって極楽往生を得るのでなく、もっぱら阿彌陀仏の本願によって救済されることをいう。転じて、物事をなすのにすべて他人の力をあてにすることをいう。他人まかせにすること。
暖衣飽食(だんいほうしょく)
暖かな衣服を着て、腹いっぱいに食べること。物質的に何の不足もなく生活すること。「飽食暖衣」とも。
断崖絶壁(だんがいぜっぺき)
切り立った崖。非常に険しい崖。
単純明快(たんじゅんめいかい)
簡単でこみいっておらず、筋道がはっきりしていてわかりやすいこと。また、そのさま。
男尊女卑(だんそんじょひ)
男性を尊重し女性を軽視すること。また、そのような社会慣習。
単刀直入(たんとうちょくにゅう)
(ただ一人で刀を執り、敵陣に斬(き)り入ることの意から)前置きや遠まわしな表現を抜きにして、ただちに要点に入ること。また、そのさま。
中肉中背(ちゅうにくちゅうぜい)
太ってもなくやせてもなく、背丈が高くもなく低くもない体型。
昼夜兼行(ちゅうやけんこう)
昼も夜も休まず道を急ぐこと。また、昼夜の区別なく仕事をすること。
朝三暮四(ちょうさんぼし)
(中国の狙公(そこう)が飼っている猿に、トチの実を与えるのに朝に三つ暮れに四つとしたところ、少ないと猿が怒ったので、朝に四つ暮れに三つとしたら喜んだという「荘子」などの故事による)眼前の違いや利益にとらわれて、結局は同じであることに気づかないこと。また、詐術をもって人を欺き愚弄すること。
彫心鏤骨(ちょうしんるこつ)
(心に彫りつけ骨にちりばめる意)非常に苦心すること。また、詩文などを苦心して磨き上げること。「ちょうしんろうこつ」とも読む。
朝令暮改(ちょうれいぼかい)
朝に命令を下し、その日の夕方にそれを改めること。命令が頻繁に変わって一定しないこと。
直情径行(ちょくじょうけいこう)
(「礼記」による)感情をいつわらないで思うとおりに行動すること。また、そのさま。
直立不動(ちょくりつふどう)
かかとをそろえてまっすぐに立ち、身動きをしないこと。
猪突猛進(ちょとつもうしん)
一つのことに向かって向こう見ずにものすごい勢いで突き進むこと。
沈思黙考(ちんしもっこう)
沈黙して、深く考えること。
津津浦浦(つつうらうら)
いたるところの港や海岸。また、国中、全国いたるところ。「つづうらうら」とも読む。
亭主関白(ていしゅかんぱく)
(「関白」は天皇を補佐し政務を執行する役職。転じて、権力が非常に強い者の意)亭主が一家で絶対的権威を握っていること。夫が非常にいばっていること。
適材適所(てきざいてきしょ)
ある仕事や業務に適した才能を持っている者をそれに適した地位、任務につけること。
徹頭徹尾(てっとうてつび)
始めから終わりまで同じ方針や考えを貫くさま。最初から最後まで。どこまでも。また、何から何まで残らず。
手練手管(てれんてくだ)
(「手練」も「手管」も人をだます手段の意)人をだます手段。人をあやつりだます技巧。
天衣無縫(てんいむほう)
(「霊怪録」による。天人の着物には縫い目のような人工の跡がないことから)文章、詩歌などに技巧の跡が見えず、ごく自然に出来上がっていてしかも完全で美しいこと。また、そのさま。また、人柄などが、無邪気で飾り気がないこと。また、そのさま。
天涯孤独(てんがいこどく)
この世に身寄りが一人もいないこと。また、遠く離れた異郷に、ただ一人暮らすこと。
天下一品(てんかいっぴん)
(世界にただ一つしかない品の意から)他に比べるものがないほどすぐれていること。また、そのような物やそのさま。
天下泰平(てんかたいへい)
(「礼記」による)世の中がよく治まり平和なこと。また、何事もなく平穏無事でのんびりしていること。また、そのさま。「天下太平」とも書く。
電光石火(でんこうせっか)
(「電光」はいなびかり、「石火」は火打ち石を打って出る火)きわめて短くはかない時間。また、動作や振舞いがきわめてすばやいことをたとえて言う。
天真爛漫(てんしんらんまん)
うわべを飾ったところが少しもなく、ありのままであること。無邪気で屈託のないこと。また、そのさま。
天地神明(てんちしんめい)
天地の神々。
天罰覿面(てんばつてきめん)
悪行の報いがすぐ現れること。悪事を働くと即座に天が罰を下すこと。
天変地異(てんぺんちい)
(「天変」は天空に起こる変動で、風・雨・雷・日食・月食・彗星など、「地異」は地上に起こる異変で、地震・洪水などをいう)天地の間に起こる自然の異変。
当意即妙(とういそくみょう)
(仏教語の「当位即妙」から)すばやく、その場に適応した機転をきかすこと。また、そのさま。
同行二人(どうぎょうににん)
二人づれであること。多く西国巡礼者がいつも弘法大師といっしょにあるという意で笠などに書きつける語。
同工異曲(どうこういきょく)
(「韓愈―進学解」による)音楽の演奏や詩文などの技巧は同じだが、趣や表されたものが異なること。転じて、見かけは違うようでも内容は同じであること。「異曲同工」とも。
同床異夢(どうしょういむ)
(「陳亮―与朱元晦秘書」による。同じ床に寝ながらそれぞれ違う夢を見ることの意から)行動をともにしていながら、まったく別々の事を考えていること。同じ立場や同じ仕事をしている者でも、考え方や目標などが異なっていること。
東奔西走(とうほんせいそう)
東に西に奔走すること。あちらこちらとせわしなく駆け回ること。
党利党略(とうりとうりゃく)
政党や党派などの利益と策略。
得意満面(とくいまんめん)
得意な気持が顔いっぱいにあふれること。
独断専行(どくだんせんこう)
自分だけの判断で、勝手に行動すること。
独立独歩(どくりつどっぽ)
他人に頼ることなく、自力で自分の信ずるところを行うこと。また、そのさま。「独立独行」とも。
徒手空拳(としゅくうけん)
手に何も持たないこと。また、自分の身一つだけで頼むべきもののないこと。
【な行】
内柔外剛(ないじゅうがいごう)
内心は柔弱なのに外見は剛強に見えること。また、そのさま。「外柔内剛」はその反対。
内憂外患(ないゆうがいかん)
国内の心配事や外国との間に生じるわずらわしい事態。内外の心配事。
難行苦行(なんぎょうくぎょう)
仏教で、さまざまな苦難に耐えて行う修行。転じて、ひどく苦労すること。
難攻不落(なんこうふらく)
攻撃するのが困難で、容易に陥落しないこと。
南船北馬(なんせんほくば)
(中国でその交通に、南部は川や運河が多いので船を、北部は山や平原が多いので馬を多く用いるところから)絶えず旅を続けること。各地にせわしく旅行すること。
二者択一(にしゃたくいつ)
二つの事物のうち、一方を選ぶこと。「二者選一」とも。
二束三文(にそくさんもん)
(金剛草履が二足で三文の値であったところからという)数が多いのに値段がきわめて安いこと。捨て売りにする値段。「二足三文」とも書く。
日常茶飯(にちじょうさはん)
(毎日の食事の意から)日々のありふれたこと。
日進月歩(にっしんげっぽ)
日に月に絶えまなく進歩すること。絶えず進歩すること。
二人三脚(ににんさんきゃく)
二人が横に並び、内側の足首を互いにひもで結び合わせて走ること。また、その競技。転じて、二人で協力して事をなしとげていくこと。
二律背反(にりつはいはん)
(独語Antinomieの訳語)哲学で、相互に矛盾する二つの命題が同等の妥当性をもって主張されること。
拈華微笑(ねんげみしょう)
仏教語。摩訶迦葉(かしょう)が釈迦から奥義を授けられたという「五灯会元」にみえる故事を示すことば。釈迦が霊鷲山で弟子に説法した時、一言も言わず、蓮の花をひねったところ弟子たちはその意を解せなかったが、迦葉だけは、その意を理解してにっこりと笑った。それを見て釈迦は、仏法のすべてを迦葉に授けたと語ったという。ことばを用いずに心から心へ伝えることをいう。
【は行】
破顔一笑(はがんいっしょう)
顔をほころばせてにっこりと笑うこと。
博学多識(はくがくたしき)
ひろく諸学に通じて、知識が豊富であること。また、そのさま。
薄志弱行(はくしじゃっこう)
意志が弱く、物事を断行する気力に乏しいこと。
白砂青松(はくしゃせいしょう)
白い砂と青い松。海岸などの美しい景色をいう語。「はくさせいしょう」とも読む。
拍手喝采(はくしゅかっさい)
手をたたいてほめそやすこと。
博覧強記(はくらんきょうき)
書物をひろく読み、それらをよく記憶して豊かな知識をもっていること。また、そのさま。
薄利多売(はくりたばい)
利益を少なくして安い値段で品物を多く売り、全体としての利益をあげること。
馬耳東風(ばじとうふう)
(「李白―答王十二寒夜独酌有懐」による。「東風」は春風。馬は東風が吹いてもうれしいとも何とも感じないという意から)人の意見や批評などを心にとめないで、聞き流すこと。他人のことばに耳をかさないこと。
八面六臂(はちめんろっぴ)
(一つの体に八つの顔と六つのひじを持つ仏像から)一人で数人分の働きをすること。多方面にめざましい手腕を発揮することのたとえ。「三面六臂」とも。
八方美人(はっぽうびじん)
(どこから見ても難点のない美人の意から)誰からも悪く思われないように、如才なくふるまうこと。また、その人。
波瀾万丈(はらんばんじょう)
変化が非常に激しいこと。また、そのさま。
万古不易(ばんこふえき)
永遠に変わらないこと。また、そのさま。
万死一生(ばんしいっしょう)
(「万死に一生を得」「万死に一生を顧みず」から)ほとんど助かるとは思えないほどの危険な状態。また、そのような状態からかろうじて命が助かること。また、必死の覚悟を決めること。「ばんしいっせい」とも読む。
半死半生(はんしはんしょう)
今にも死にそうなこと。死にかかっていること。「はんしはんじょう」「はんじはんじょう」「はんしはんせい」とも読む。
半信半疑(はんしんはんぎ)
なかば信じ、なかば疑うこと。真偽の判断に迷うこと。
美辞麗句(びじれいく)
美しいことばやひびきのよい文句。特に、うわべだけを飾り立てた文句をいうことが多い。
美人薄命(びじんはくめい)
「佳人薄命(かじんはくめい)」に同じ。
眉目秀麗(びもくしゅうれい)
容貌のすぐれて美しいこと。また、そのさま。特に、男性の容貌についていう。
百戦錬磨(ひゃくせんれんま)
多くの戦いに参加して鍛えられること。転じて、多くの経験をつんでいること。
百花斉放(ひゃっかせいほう)
(1956年、「百家争鳴」とともに中国で唱えられたスローガン。多くの花がいっせいに咲くことの意から)さまざまな学問や芸術が盛んにならび行われること。また、それに関する議論が自由、かつ活発に行われること。
百家争鳴(ひゃっかそうめい)
(1956年、「百花斉放」とともに中国で唱えられたスローガン)多くの学者、文化人が、自説を自由に発表し論争すること。
百花繚乱(ひゃっかりょうらん)
種々の花が咲きみだれること。転じて、すぐれた事柄や人物が、一時期にたくさん現れること。また、そのさま。「百花撩乱」とも書く。
百鬼夜行(ひゃっきやこう)
種々の妖怪が夜に列をなして歩き回ること。転じて、多くの悪人や怪しい人々が、勝手気ままに振舞うこと。「ひゃっきやぎょう」とも読む。
百発百中(ひゃっぱつひゃくちゅう)
すべて命中すること。転じて、計画や予想などが、すべてその通りになること。
表裏一体(ひょうりいったい)
相反する二つの物が一つになること。二つの物の関係が密接で切りはなせないこと。
疲労困憊(ひろうこんぱい)
疲れ果ててくたくたになること。ひどく疲れて苦しむこと。
品行方正(ひんこうほうせい)
行いがきちんとして正しいこと。また、そのさま。
風光明媚(ふうこうめいび)
自然のながめがよいこと。山や川の景色が清らかで美しいこと。また、そのさま。
武運長久(ぶうんちょうきゅう)
戦場での幸運、軍人としての運が長く続くこと。
不易流行(ふえきりゅうこう)
蕉風俳諧の理念の一つ。新しみを求めてたえず変化する流行性にこそ、永遠に変わることのない不易の本質があり、不易と流行とは根元において一つであるとし、それは風雅の誠に根ざすものだとする説。
不可抗力(ふかこうりょく)
天災、地変、不慮の事故など人の力では抵抗したり防止したりすることのできない力や事態。
複雑怪奇(ふくざつかいき)
非常に複雑で不思議なこと。また、そのさま。
不倶戴天(ふぐたいてん)
(「礼記」の「倶(とも)に天を戴(いただ)かず」から)相手をこの世に生かしておかないこと。殺すか殺されるか、いっしょには生存できないほど恨んでいること。怨みや憎しみが深く報復せずにはいられないこと。また、そのような間柄。
富国強兵(ふこくきょうへい)
国の財力を富ませ、兵力を強めること。
不惜身命(ふしゃくしんみょう)
(仏教語。「法華経」による)仏道を修めるためには、みずからの身や命をも顧みないこと。また、その心構えや態度。また一般に、仏道以外の物事についてもいう。
夫唱婦随(ふしょうふずい)
(「関尹子―三極」による)夫が言い出して、妻がこれに従うこと。夫妻がよく和合していること。
不即不離(ふそくふり)
互いの関係がつきもせず、離れもしないこと。また、そのさま。つかずはなれず。
二股膏薬(ふたまたごうやく)
「内股膏薬(うちまたごうやく)」に同じ。
不撓不屈(ふとうふくつ)
どんな困難に出あっても心がくじけないこと。また、そのさま。
不得要領(ふとくようりょう)
要領を得ないこと。あいまいでわけのわからないこと。また、そのさま。
不偏不党(ふへんふとう)
どの党、どの主義にも加わらないこと。どちらにもかたよらないで、公正、中立の立場に立つこと。また、そのさま。
不眠不休(ふみんふきゅう)
眠りも休みもしないこと。睡眠も休憩もせず熱心に事にあたることをいう。
不要不急(ふようふきゅう)
必要ではなく、急を要しないこと。
不立文字(ふりゅうもんじ)
仏教語。禅宗の基本的立場を示す語。悟りは経論の文字やことばなどによらず、心から心へ伝えるものであるということ。経論の説く真髄を捉え、経論を超えることを示したことば。「ふりゅうもじ」とも読む。
不老長寿(ふろうちょうじゅ)
いつまでも年をとらず、長生きすること。
不老不死(ふろうふし)
いつまでも年をとらず、また死なないこと。
付和雷同(ふわらいどう)
自分の主義や主張をもたないで、他人の説にわけもなく同調すること。
粉骨砕身(ふんこつさいしん)
骨身を惜しまず働くこと。力の限り努力すること。
文武両道(ぶんぶりょうどう)
文事と武事との二面。また、その両方にすぐれていること。学問とスポーツの両方にすぐれていること。
文明開化(ぶんめいかいか)
人知が発達し、世の中が開けて生活が便利になること。特に日本では、明治初年、西洋文化を積極的に輸入し、急速に近代化、欧化した現象をいう。
平穏無事(へいおんぶじ)
これといって変ったこともなく穏やかなこと。また、そのさま。
平身低頭(へいしんていとう)
身をかがめ、頭を低くさげて恐縮すること。ひたすらあやまること。
平平凡凡(へいへいぼんぼん)
極めてありふれていること。また、そのさま。
変幻自在(へんげんじざい)
姿を現したり消えたり、また、変えたりすることが思うままであること。また、そのさま。
片言隻語(へんげんせきご)
「片言隻句(へんげんせっく)」に同じ。
片言隻句(へんげんせっく)
わずかなことば。ちょっとしたことば。「片言隻語」「一言一句」とも。
偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)
漢字の構成部分、偏・旁(つくり)・冠(かんむり)・脚(あし)のこと。右の四種のほか、構(かまえ)・繞(にょう)などがあり、これらを含めての総称としても用いる。
暴飲暴食(ぼういんぼうしょく)
度を過ごして飲食すること。
傍若無人(ぼうじゃくぶじん)
(「史記」の「傍(かたわら)に人無きが若(ごと)し」から)人前をはばからず勝手気ままな言動をすること。他人を無視して思うままの言動をすること。また、そのさま。
茫然自失(ぼうぜんじしつ)
あっけにとられて、我を忘れてしまうこと。
抱腹絶倒(ほうふくぜっとう)
(「抱腹」は本来「捧腹」と書く)腹をかかえて、倒れそうになるほど大笑いすること。また、そのさま。
本家本元(ほんけほんもと)
いちばん大もとの家や人。また、物事の大もと、中心となるところ。
本末転倒(ほんまつてんとう)
根本の大切な事と、枝葉のつまらない事とを取り違えること。
【ま行】
満身創痍(まんしんそうい)
体中傷だらけであること。転じて、精神的にひどく痛めつけられること。
未来永劫(みらいえいごう)
未来にわたり永久であること。永遠。
無我夢中(むがむちゅう)
ある物事に熱中して、自分を忘れること。一つの事に心を奪われて我を忘れること。
無芸大食(むげいたいしょく)
特にすぐれた才芸もなく、ただ大食すること。また、そのような人。
無知蒙昧(むちもうまい)
知識がなく物事の道理を知らないこと。また、そのさま。
無念無想(むねんむそう)
仏教で、無我の境地に入り、一切の想念を離れること。また、そのさま。転じて、何も考えないこと。また、そのさま。
無病息災(むびょうそくさい)
病気もせず、健康であること。また、そのさま。
無味乾燥(むみかんそう)
物事におもしろみや味わいがないこと。また、そのさま。
無理算段(むりさんだん)
無理をして物事や金銭の融通をつけること。
無理難題(むりなんだい)
道理に外れた言いがかり。解決の不可能なことがわかりきっている問題。
無理無体(むりむたい)
相手の意向にかまわず、強いて物事を行うこと。また、そのさま。
明鏡止水(めいきょうしすい)
(「淮南子」による。曇りのない鏡と静かな水の意から)邪念がなく澄みきった心境。
名所旧跡(めいしょきゅうせき)
景色のよさや歴史的事件や建築物などで、昔から広く知られている土地。「名所旧蹟」とも書く。
明窓浄机(めいそうじょうき)
明るい窓と清潔な机。明るく清潔な書斎をいう。「明窓浄几」とも書く。
明眸皓歯(めいぼうこうし)
美しく澄んだ眸(ひとみ)と白く整った歯。また、そのような人。美人のたとえに用いる。
明明白白(めいめいはくはく)
非常にはっきりしていて、少しも疑わしい点がないさま。事柄がきわめて明確であるさま。
滅私奉公(めっしほうこう)
私心を捨て去って公のために尽くすこと。また、主人に忠誠を尽くすこと。
面従腹背(めんじゅうふくはい)
表面では服従するようにみせかけて、内心では反抗すること。
面目躍如(めんもくやくじょ)
世間の評価や地位にふさわしい活躍をして、生き生きとしているさま。世間に対して顔がたつこと。「めんぼくやくじょ」とも読む。
門外不出(もんがいふしゅつ)
大切な品物をその家の門の外へ持ち出さないこと。転じて、貴重な物を他人に見せたり貸したりしないこと。秘蔵すること。
【や行】
夜郎自大(やろうじだい)
(「史記」による。中国西南の民族夜郎が、漢の強大さを知らずに自分の勢力をほこったという故事から)自分の力量を知らないでいばること。
唯一無二(ゆいいつむに)
ただ一つで、二つとないこと。また、そのさま。
唯我独尊(ゆいがどくそん)
(仏教語。釈迦が生まれた時に七歩あるいて天地を指さし「天上天下唯我独尊」と唱えたという故事による)この世界にわれよりも尊いものはないということ。転じて、自分だけが偉いとうぬぼれること。
有形無形(ゆうけいむけい)
形のあるものと、形のないもの。目に見えるものと、目に見えないもの。
有言実行(ゆうげんじっこう)
(「不言実行」をもじって作られた語)言ったことは必ず実行すること。また、格別に言いたてて事を行うことをもいう。
優柔不断(ゆうじゅうふだん)
ぐずぐずして物事の決断の鈍いこと。また、そのさま。
優勝劣敗(ゆうしょうれっぱい)
力のまさっているものが勝ち、劣っているものが負けること。特に、生存競争で強者や適者が栄え、そうでないものが滅びること。
融通無碍(ゆうずうむげ)
(滞りなく通じてさまたげのない意から)考え方や行動が何物にもとらわれず自由であること。また、そのさま。
有職故実(ゆうそくこじつ)
古来の朝廷や武家の行事・儀礼・官職・制度・服飾・法令・軍陣などの先例や典故をいう。また、それらを研究する学問。
有名無実(ゆうめいむじつ)
名だけがあって、その実質のないこと。名前が意味するほど実際には価値がないこと。また、そのようなさま。
悠悠自適(ゆうゆうじてき)
俗世間にわずらわされず、心のおもむくままにゆったりと日を過ごすこと。
油断大敵(ゆだんたいてき)
油断は失敗の原因であることが多く重大な敵であるということ。油断することを戒めた語。
用意周到(よういしゅうとう)
細かいところまで心配りが行き届いていること。少しも手ぬかりがないこと。また、そのさま。
容姿端麗(ようしたんれい)
姿かたちが整っていて美しいこと。また、そのさま。
羊頭狗肉(ようとうくにく)
(「羊頭をかかげて狗肉を売る」の略。羊の頭を店頭に掲げておきながら、犬の肉を売ることから)表面と内容とが一致していないこと。外見や宣伝は立派だが中身が伴わないこと。
余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)
ゆったりとしていてあせらないさま。落ち着き払っているさま。
【ら・わ行】
落花狼藉(らっかろうぜき)
(「和漢朗詠集」による)花が散り乱れること。また、花を散らし乱すこと。転じて、物の散り乱れるさまや散り乱すさまのたとえ。女性を花にたとえて、女性や子供に乱暴を働くさまにもいう。
乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)
無法な振る舞いをして他を侵すこと。荒々しい行いをしてあばれること。
利害得失(りがいとくしつ)
利益と損失。得ることと失うこと。
離合集散(りごうしゅうさん)
離れたり集まったりすること。また、それを繰り返すこと。「離合聚散」とも書く。
立身出世(りっしんしゅっせ)
成功して世間に名をあげること。
流言飛語(りゅうげんひご)
世間に広まっている根も葉もないうわさやデマ。「流言蜚語」とも書く。
竜頭蛇尾(りゅうとうだび)
(頭が竜で、尾が蛇であること)初めは盛んで、終わりの振わないこと。
粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)
(「李紳―憫農詩」による。穀物の実のひと粒ひと粒が辛苦の結晶であるということ。米を作る農民の苦労をいった語から)こつこつと苦労や努力を積むこと。物事を成就するために地道な努力を続けること。
理路整然(りろせいぜん)
話や考えの筋道などが整っているさま。「支離滅裂」はその反対。
臨機応変(りんきおうへん)
その時やその場面に応じて、適切な手段を施すこと。また、そのさま。
冷汗三斗(れいかんさんと)
(冷や汗が三斗も出る意。「三斗」は尺貫法で約54リットル。多量であることのたとえ)恐ろしさや恥かしさでひどく汗をかくこと。ひどく恐ろしい思いや恥かしい思いをすること。
冷酷無情(れいこくむじょう)
思いやりがなく無慈悲であること。また、そのさま。
六根清浄(ろっこんしょうじょう)
(仏教で、「六根」は人間に迷いを生じさせる六つの器官。目・耳・鼻・舌・身・意のこと)六根から生じる執着を断ち切って、心身ともに清浄になること。また、その境地。また、六根の不浄を祓い清めるために、山参りの修行者や登山者などが唱えることば。
論功行賞(ろんこうこうしょう)
功績の有無や大小を良く調べ定めて、それにふさわしい賞を各人に与えること。
和魂洋才(わこんようさい)
(「和魂漢才」の類推から作られた語)日本人固有の精神をもって西洋伝来の学問や知識を取捨し、活用すること。明治以後、日本の洋学摂取の際に用いられた。
和洋折衷(わようせっちゅう)
日本の様式と西洋の様式とをとり合わせること。