日本大百科全書(ニッポニカ) 「オールディス」の意味・わかりやすい解説
オールディス
おーるでぃす
Brian W. Aldiss
(1925―2017)
イギリスのSF作家。J・G・バラードと並ぶSFニュー・ウェーブの旗手。作家兼評論家兼アンソロジストで活躍の幅が広い。SFを書き始めたのは1954年からで、ヒューゴー賞受賞の代表的長編『地球の長い午後』(1962)や、『子供の消えた惑星』(1964)は、ペシミズムを基調とした斬新(ざんしん)な手法で地球の終末を描いた作品である。また『十億年の宴(うたげ)』(1973)と続編『一兆年の宴』(1986)は彼が卓越した評論家であることを立証した労作で、最良のSF史として定評がある。精神的なタイム・トラベルをテーマにした『隠生代』(1967)、短編集『ありえざる星』(1965)など、著作の数は30冊近い。
[厚木 淳]
『浅倉久志・小隅黎訳『十億年の宴――SF―その起源と歴史』(1980・東京創元社)』▽『浅倉久志訳『一兆年の宴』(1992・東京創元社)』▽『井上一夫訳『ありえざる星』(創元推理文庫)』