カギバガ(読み)かぎばが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カギバガ」の意味・わかりやすい解説

カギバガ
かぎばが / 鉤羽蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目カギバガ科Drepanidaeのガ類の総称。ガ類のなかでは小さい科で、主として東南アジアに種類が多く、日本には30種が生息している。大形種で、はねの開張55ミリメートル、小形種で15ミリメートル、大部分はその中間ぐらいの大きさである。前ばねの翅頂が鎌(かま)状にとがる種が多い。すべて夜行性で、よく灯火に飛来する。幼虫は毛がまばらなイモムシで、1本の尾状突起をもち、種によっては体長の3分の1ぐらいの長さに達する。すべて樹木の葉を食べ、葉を巻いたり綴(つづ)ったりして薄い繭をつくり、蛹化(ようか)する。害虫として注目されている種はいない。

[井上 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カギバガ」の意味・わかりやすい解説

カギバガ
Drepanidae; hook-tip moth

鱗翅目カギバガ科の昆虫の総称。小型から中型のガで,体は細く,翅は広い。多くは前翅端が鉤状に鋭く突出するので,この名がある。触角雌雄とも櫛歯状。口吻は短く,退化するものもある。幼虫は体が細く,腹端に尾状突起をもち,尾脚を欠いている。スカシカギバ Macrauzata fenestrariaは前翅開張幅 50mm内外,翅の中央に鱗粉のない透明部がある。幼虫はコナラクヌギの葉を食べる。本州から屋久島までとインドに分布。そのほか,ウコンカギバ Tridrepana croceaなど,日本から 30種以上が記録されている。

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