改訂新版 世界大百科事典 「カチャピ」の意味・わかりやすい解説
カチャピ
kacapi[インドネシア]
東南アジアに広く分布する撥弦楽器。舟形の胴体に多くの弦を張ったチター属のものと,細長い棹を有し2~数本の弦を張ったリュート属のものとに分類される。また地域によって名称が少しずつ異なる。チター属の代表的なものは,ミンダナオ島のクジャピ,ジャワ西部のカチャピで,特に後者は歌や笛と組み合わされ音楽的にきわめて芸術性の高いものである。リュート属のものには,スマトラのバタク族のカチャピ(ハサピ),スラウェシのブギス族のカチャピ,カリマンタンのダヤク族のサペ(サンベ,イムパイ)がある。タイではクラジャピと呼ばれる。多くの場合歌の伴奏や叙事詩の弾き語りに用いられる。
執筆者:田村 史子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報