日本大百科全書(ニッポニカ) 「カナダ太平洋鉄道」の意味・わかりやすい解説
カナダ太平洋鉄道
かなだたいへいようてつどう
Canadian Pacific Railway
カナダを中心に事業展開している総合的民営交通企業。カナダおよびアメリカ合衆国で合計2万3588キロメートル(2011)に及ぶ鉄道網をもち、貨物列車を運行している。かつてはカナダ太平洋汽船、カナダ太平洋航空、多くのハイウェー、電信、宅配便、ホテルなど広範囲にわたる事業にかかわっていた。会社は1881年、太平洋岸に至る大陸横断鉄道を建設する目的で創立された。カナダ連邦政府から2500万ドルの補助金と、モントリオール―ウィニペグ―バンクーバー間の幹線を含む2500万エーカー(約10万平方キロメートル)の土地の権利を得、大陸横断鉄道は1885年に開通した。傘下のカナダ太平洋汽船、カナダ太平洋航空は、バンクーバーからさらに北太平洋を横断、日本やその他の東アジア諸国に達する航路を開拓した。
1971年にカナディアン・パシフィック社Canadian Pacific Limitedが設立され、カナダ太平洋鉄道はその子会社となった。赤字を出し続けていた大陸横断や大都市間の鉄道旅客輸送はカナダ国有鉄道(1995年民営化され、カナディアン・ナショナル鉄道となった)の子会社であるビア・レール・カナダ社VIA Rail Canadaに、それぞれ1978年、1979年より引き継がれた。
その後、2001年にカナディアン・パシフィック社は鉄道、ホテル・チェーンなど、5事業をスピンオフspin-off(会社が事業所などを独立させ、子会社の株を買い取り親会社の株主に分配すること)させた。これにより、カナダ太平洋鉄道は貨物輸送を主体とする会社となった。
[青木栄一・青木 亮]