カマツカ(読み)かまつか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カマツカ」の意味・わかりやすい解説

カマツカ(バラ科)
かまつか / 鎌柄
[学] Pourthiaea villosa (Thunb.) Decne. var. villosa
Photinia villosa (Thunb.) DC. var. laevis (Thunb.) Dipp.

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉低木。高さ2~5メートル、枝は太くはないが弾力があり、堅い。葉は互生し、単葉で縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。葉身は倒卵形ないし楕円(だえん)形、初め軟毛があるが、のちにはほとんど毛がない。4、5月、短枝の先に、径1センチメートル弱の白色の5弁花を多数開く。雄しべは20本、雌しべの花柱は3本で子房は下位。花柄に軟毛がある。果実はなし状果、楕円形で赤く熟す。名は鎌の柄(え)に用いることによる。ウシの鼻環に用いられたことから、ウシコロシともいう。日本全土の低山地に普通にみられ、朝鮮半島、中国にも分布する。葉の毛の状態が非常に変化に富み、とくに綿毛の多いものが学名の基本で、ワタゲカマツカという。カマツカはカナメモチ属に分類されていたが、落葉性で、花柄や花序軸にいぼ状の突起があるので、カマツカ属Pourthiaeaとして独立させる説もある。

[鳴橋直弘 2019年12月13日]



カマツカ(淡水魚)
かまつか / 鎌柄
[学] Pseudogobio esocinus

硬骨魚綱コイ目コイ科に属する淡水魚。スナホリ、スナムグリカワギスダンギリボなどともよばれる。天然分布域は青森県と秋田県を除く本州、九州、四国の一部であるが、現在はさらに広がっている。朝鮮半島、中国にも分布する。全長25センチメートル以上に達する底生魚で、頭が大きく、口は下面に開き、1対のひげをもつ。川の中・下流域や湖沿岸の砂底ないし砂礫(されき)底に生息し、口を突出させて砂中の底生動物を砂もろとも吸い込み、鰓孔(さいこう)から砂を出す。危険を感ずると、砂中に眼部を除く全身を埋没させる。3~6月ごろ砂底部に産卵する。体の横断面が円形に近いので肉質は多く、味もあっさりしているが、骨が硬いのが難点である。

[水野信彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カマツカ」の意味・わかりやすい解説

カマツカ
Pseudogobio esocinus esocinus

コイ目コイ科の淡水魚。体長 15cm。体色は淡黄灰色で,背方は濃く,腹方は淡い。体は筒形に近く,尾部はやや側扁する。唇には肉質突起が多数ある。水底の昆虫の幼虫を餌とし,胸鰭を広げ水底に定座,また砂中にもぐる。北海道,青森県と秋田県を除く日本全域,朝鮮半島,中国北部などに分布する。

カマツカ(鎌柄)
カマツカ

ウシコロシ」のページをご覧ください。

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