日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラモジョン」の意味・わかりやすい解説
カラモジョン
からもじょん
Karamojong
ウガンダ北東隅の乾燥したサバナ高原カラモジャ地方に住む東ナイル語系の半遊動的な牛牧民。北方からの移住過程で分派したウガンダの北テソ、ジエ、ジイエ、トポサ、ドドス、ケニアのトゥルカナ、南テソなどとともにカラモジョン群と総称される。形質的には長身痩躯(そうく)、薄い唇と高い鼻をもつ。男は粘土製のかつらをつけた。円環状の立杭の塀で囲まれたホームステッド(家屋敷)群からなる集落で女が雑穀を栽培し、若者が移動キャンプで牛を飼うが、近年一部に犂耕(りこう)が導入された。ウシを諸価値の核とする文化を誇り、その交換に基づく「ウシ親族」を父系氏族よりも重視する。おのおのが宗教的な聖地をもつ10支族からなるが、支族や集落を横断して形成される氏族と世代組・年齢組体系が全体を統合している。年齢組の役割分担は明確ではない。天の全能神や妖術(ようじゅつ)を信じ、預言者や占い師が超人間的な現象を解釈する。老人の呪詛(じゅそ)が社会的制裁力として重要。彼らと周囲の牧畜民は、長年、相互に家畜の略奪を繰り返してきた。その歴史は、家畜の伝染病、イナゴによる害など、災害と不運に彩られている。推定人口は28万(1980)。ただし、1979年にはアミン元大統領派の残党による略奪、1980年には干魃(かんばつ)と飢饉(ききん)に苦しみ、その後も多くの死者と難民が出、大幅に減少した模様である。
[小馬 徹]