日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワイノシシ」の意味・わかりやすい解説
カワイノシシ
かわいのしし / 河猪
red river hog
[学] Potamochoerus porcus
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目イノシシ科の動物。別名をアカイノシシ、ヤブイノシシともいう。分布は広く、アフリカの西部から中央部、東部、および南部の一部に生息する。体高50~75センチメートル、体重54~81キログラムほどで、長くて粗い毛が生える。口吻(こうふん)部は細長くとがり、耳も長くて先に毛の房が生える。老成した雄では、目の下方にいぼ状の突起が明瞭(めいりょう)となる。牙(きば)は短いが鋭い。毛色は産地によりさまざまである。南部や東部のものは暗褐色で黒っぽいが、西部のものは赤褐色を呈し、顔の黒と白の配色と鮮やかなコントラストをなし、きわめて美しい。森林やその周辺の深いやぶにすみ、6~20頭ほどの群れで暮らす。夜行性で動作はすばやく、泳ぎも巧みであるが、ヒョウが天敵である。雑食性で、木の根や果実のほか、鳥の卵、爬虫(はちゅう)類、昆虫なども食べる。1産3~6子を産み、子の体には白っぽい横縞(よこじま)がある。
[増井光子]