カワリハナダイ(読み)かわりはなだい(その他表記)yellowstripe slopefish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワリハナダイ」の意味・わかりやすい解説

カワリハナダイ
かわりはなだい / 変花鯛
yellowstripe slopefish
[学] Symphysanodon katayamai

硬骨魚綱スズキ目カワリハナダイ科に属する海水魚。八丈島、相模湾(さがみわん)から高知県柏島(かしわじま)付近の太平洋沿岸、台湾南部、スラウェシ島パラオ諸島、ハワイ諸島の海域に分布する。体は細長く、側扁(そくへん)する。両眼間隔域は強く盛り上がり、その幅は眼径より広い。主上顎骨(しゅじょうがくこつ)の後端は目の後縁下に達する。歯は小さく明瞭(めいりょう)な犬歯はないが、前部のものはいくぶん大きい。下顎の縫合部に突出した歯があり、上顎のくぼみに入る。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)、口蓋骨、外翼状骨に小さい歯の幅狭い歯帯があり、鋤骨では楕円(だえん)形。舌上に小さい歯がある。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の垂直部は鋸歯(きょし)状で、水平部は円滑。主鰓蓋骨に2本の扁平な棘(きょく)がある。間鰓蓋骨と下鰓蓋骨の縁辺は円滑。鰓耙(さいは)は長くて密生し、最長のものは鰓葉長より長い。鱗(うろこ)は大きい櫛鱗(しつりん)で、はがれやすい。口唇および背びれと臀(しり)びれには鱗がない。背びれと臀びれの起部から側線までの斜めの鱗数はそれぞれ5枚と14枚。側線有孔鱗数は50~55枚。側線は緩く一様に曲がり、尾柄(びへい)まで達する。背びれと臀びれに欠刻(切れ込み)がない。背びれは9棘10軟条、臀びれは3棘7軟条。臀びれの起部から臀びれを倒したときの最後端までの長さは体長の34~39%。尾びれは深く二叉(にさ)し、上下の軟条はいくぶん糸状に伸長する。体は桃赤色で、体の中央部を水平に橙色(とうしょく)帯が走る。背びれと尾びれの上下葉の先端は黄色。最大体長は20センチメートルほどになる。沿岸の水深20~180メートル付近の岩礁域に生息し、まれに釣りでとれる。

 本種は外見上ではハナダイ類に似ているのでハタ科のハナダイ亜科魚類に含められていたが、主鰓蓋骨棘が2本(ハナダイ亜科では3本)であることで異なる。他方、一部の骨学的特徴(頭蓋骨、腹びれ腋部(えきぶ))はフエダイ科と共通するが、背びれ棘が9本(フエダイ科では10~12本)であることや別の骨(上下両顎、鰓蓋骨)の特徴ではフエダイ科とも異なる。そこで暫定的に創設されたカワリハナダイ科に含められている。

[尼岡邦夫 2022年2月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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