ガラクタン

化学辞典 第2版 「ガラクタン」の解説

ガラクタン
ガラクタン
galactan

ガラクトースから構成される多糖総称植物海藻などに広く分布するが,ほかの糖と結合したヘテロ多糖として存在することも多い.ルピナスLupinus albus種子リンゴペクチン質には,(β1→4)結合をもつ単独のD-ガラクタンが約25% 含まれており,これらはペクチン酸の側鎖として結合している.また,針葉樹材中のアラビノガラクタン中にも,同様な重合度のD-ガラクタンが見いだされている.寒天として知られている紅藻中のガラクタン,アガロース(約70%)は,(β1→4)結合のD-ガラクトースと(α1→3)結合の3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースとが交互に連なったアガロビオースの繰り返し構造をもつ.アガロペクチンもアガロビオース単位をもつが,硫酸基やピルビン酸基をもつ酸性多糖で,ゲル化力が弱い.ツノマタChondrusなどの紅藻に含まれるカラゲニンは,硫酸化D-ガラクタンである.水溶液からKClで沈殿するκ-カラゲナンと,可溶のλ-カラゲナン中の硫酸基の位置は,図のように決定されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガラクタン」の意味・わかりやすい解説

ガラクタン
galactan

ガラクトースが多数つながった多糖類命名慣行に従って,語尾に-anをつけてガラクタンという。糖は誘導体のこともあり,たとえば寒天では,硫酸エステル化したガラクトースが2%ほど存在する。植物の細胞壁中層の膠着成分であるペクチン質は,ガラクトースのウロン酸型誘導体であるガラクツロン酸主体とするので,ガラクタン誘導体とみなすこともできる。ガラクタンには,通常のD型糖でなくL型を含むものもある。

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栄養・生化学辞典 「ガラクタン」の解説

ガラクタン

 ガラクトースで構成される多糖の総称.ガラクトースのみのホモグリカンは少なく,多くの場合他の糖を含むヘテログリカン.寒天や紅藻に含まれるカラゲニンなど.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のガラクタンの言及

【低カロリー食品】より

…とくに甘味料として砂糖などが使われているときは,糖アルコールや合成甘味料で代替する。穀類製品においては,主要成分が糖質であるので製造が難しいが,デンプンの代りに,ガラクタンgalactanなどの非消化性多糖類を添加する。製品にはパン,うどん,スパゲッティなどの主食類,ビスケット,クッキー,アイスクリーム,ジャムなどの副食類,ミルク,チーズなどの乳製品がある。…

※「ガラクタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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