キバキ(その他表記)Kibaki, Mwai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キバキ」の意味・わかりやすい解説

キバキ
Kibaki, Mwai

[生]1931.11.15. ケニア植民地,ガトゥヤニ
[没]2022.4.22. ケニア,ナイロビ
ムアイ・キバキ。ケニアの政治家。大統領(在任 2002~13)。フルネーム Emilio Mwai Kibaki。独立以来,政権を担っていたケニア・アフリカ民族同盟 KANUの候補を破り,初の野党出身の大統領として 2期10年あまりにわたって国の民主化に努めた。
キクユ族の出身。1955年にウガンダマケレレ大学で文学士号,1959年にイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで理学士号を取得。1963年のケニア独立後,KANU所属の国会議員となった。1969~82年に財務大臣,1978~88年に副大統領を務めたが,ダニエル・アラップ・モイ大統領と対立し,1991年に KANUを離党して民主党創設。2002年に政党連合の「国民虹の連合」NARC結成に尽力し,大統領候補に指名された。同 2002年に行なわれた大統領選挙で大勝,KANUは議会選挙でも NARCに惨敗した。
キバキは,政府の腐敗を一掃することを誓い,反汚職法廷を設置したものの,議会で汚職撲滅法案を可決させることはできなかった。NARC内では改革案をめぐる意見の相違から亀裂が深まり,キバキは 2007年の大統領選挙に備えて新勢力,国家統一党 PNUを結成,これに KANUが参画した。選挙結果は,キバキが僅差でオレンジ民主運動 ODMのライラ・オディンガに勝利したと発表された。選挙結果に対して,オディンガはただちに異を唱え,国際選挙監視団も有効性を疑問視し,抗議行動がケニア全土に拡大した。
2008年2月,コフィ・アナン国連事務総長とアフリカ連合 AU議長でもあるタンザニアのジャカヤ・キクウェテ大統領の調停で,キバキとオディンガは権力分与案に署名。PNUと ODMの連立政権を樹立し,キバキは大統領の座にとどまり,オディンガは新設の首相職についた。2010年8月27日,民族間の緊張をやわらげ権力の分散化をはかる新憲法が国民投票を経て発効し,キバキは 3期目の大統領就任を禁ずる憲法の規定に従い,2013年4月をもって任期満了で退任した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android