改訂新版 世界大百科事典 「キャペリン」の意味・わかりやすい解説
キャペリン
capelin
Mallotus villosus
サケ目キュウリウオ科の海産魚。カラフトシシャモとも呼ばれる。太平洋および大西洋の北部に分布し,四つの系群があり,冷水系の回遊魚である。形態はシシャモによく似ているが,うろこが小さく数も多いこと,歯も小さいことで識別できる。3~4歳で成熟し,北ヨーロッパで3~4月,北アメリカで6~7月に産卵する。ふつう,産卵に際し接岸し,波打ちぎわに大群をなす。雄が雌に寄りそうようにして砂れきに付着卵を産む。砂れき底で海水の流れのよいところでは10~20mの海底でも産卵する。0℃で55日,10℃で15日ほどで孵化(ふか)し,すぐに浮遊生活を送るが冬には底に潜む。北ヨーロッパの各国,カナダ,ソ連によって漁獲され,1972年に200万t近くに達したが,その大半はノルウェーである。季節により脂胞組成が変化し,秋に16~24%,産卵期後に1~3%となる。以前は肥料,油料用であったが,近年は食用に供され,冷凍シシャモとして大量に輸入されている。
執筆者:松下 克己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報