改訂新版 世界大百科事典 「ギョクシンカ」の意味・わかりやすい解説
ギョクシンカ
Tarenna gyokushinkwa Ohwi
温暖地の常緑樹林下に生えるアカネ科の日本特産の常緑性低木。花はたいへん美しいが,栽培がむずかしいためか,とくに利用されることはない。茎は直立し高さ1~3m。葉は楕円形,長さ9~20cm,窒素固定をする葉粒バクテリアが共生し,菌粒ができることがある。花は茎の先端に集まって大きな散房状となり,3~7月に咲く。花冠は純白,筒部は長さ6mm,反曲する裂片は4~5枚,長さ9mm。花柱は棒状で長くつき出る。子房は下位,2室で各室に7~8個の胚珠がつく。果実は球形で黒くなる。九州南部から琉球諸島に分布する。小笠原諸島にシマギョクシンカがある。
ギョクシンカ属Tarennaは約100種が主にアジアとアフリカの熱帯に分布し,少数がオーストラリアからも知られている。一部の種が民間薬として利用されているが,重要でない。
執筆者:福岡 誠行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報