クラグイエバツ(読み)くらぐいえばつ(英語表記)Kragujevac

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラグイエバツ」の意味・わかりやすい解説

クラグイエバツ
くらぐいえばつ
Kragujevac

セルビア共和国の中央部を占めるシュマディア地方の中心都市。モラバ川支流レペニツァ川沿いに位置する。人口18万0912(2001推計)。交通の要所で、1885年にベオグラード―ニシュ線と接続する鉄道が敷設された。セルビア公国の首都(1818~39)として、ベオグラードより先に劇場、印刷所、陸軍学校などが設置された。19世紀末から20世紀にかけて社会主義運動の一中心地をなした。1941年10月21日、占領中のドイツ軍により、当地将校を暗殺された報復として、学童を含む7000人の虐殺が行われた悲劇の町としても有名。この事件を題材にしたのがD・マクシモビッチ『血の伝説』で、この作品に基づいて映画化された『抵抗の詩(うた)』(1969)は日本でも上映された。犠牲者の遺品を集めた博物館、広大な記念公園もある。自動車工場ツルベナ・ザスタバCrvena Zastava(赤旗)のほか、農機具・食品・皮革工場、大学、労働運動博物館、酪農研究所などがある。

田村 律]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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