改訂新版 世界大百科事典 「クルチャトビウム」の意味・わかりやすい解説
クルチャトビウム
kurchatovium
104番元素の元素名。はじめ1964年ソ連のドゥブナ原子核研究所で,104番元素を人工的に合成したことが報告され,これについてソ連の研究者グループはクルチャトビウムという名称とKuという元素記号の採用を主張した。しかし,その後まもなく,これに対するアメリカの研究者グループの批判があり,その発見についてはソ連とアメリカの研究者グループ間で主導権争いがなされてきた。アメリカのグループはラザフォージウムrutherfordiumという名称とRfという元素記号の採用を主張している。これまで104番元素の研究では,KuとRfの両者が使用されてきているが,国際的に公認されたものではない。実際には,この104番元素は,カリホルニウム249249Cfを炭素1313Cで衝撃して259Ku(または259Rf)とするなどの方法で得られている。259Kuはα崩壊し,半減期は3秒である。周期表中では103番で終わるアクチノイドに続くものであるから,第四遷移元素では希土類元素に属さない初めての元素であると考えられ,化学的にきわめて興味がもたれる。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報