周期表第4族に属する人工元素の一つ。原子番号104の元素。元素記号Rf。1964年ソ連のドゥブナ研究所でプルトニウム242にネオン22のイオンを衝突させて、質量数260(半減期0.3秒、自発核分裂で崩壊)の104番元素を合成したと報告し、これに名称クリチャトビウムまたはクルチャトビウムkurchatovium、元素記号Kuの採用を主張した。しかし、アメリカのローレンス放射線研究所の追試では確認されず、1969年同研究所でカリホルニウム249を炭素12および炭素13のイオンで衝突させて、質量数257(半減期4~5秒、α(アルファ)崩壊)および259(半減期約3秒、α崩壊)の104番元素を初めてつくったとし、これをラザホージウム、元素記号Rfとすることを主張した。このため104番元素の研究では、しばしばこれら二つの名称および記号が使用されていた。1997年国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)と国際純粋・応用物理連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)は正式名としてラザホージウムを採用した。周期表中では希土類元素に属さない初めての第四遷移元素であって、化学的にはきわめて興味がもたれている。命名は、イギリスの物理学者、E・ラザフォードにちなむ。
[中原勝儼]
Rf.原子番号104の元素.電子配置[Rn]5f146d27s2の周期表4族元素.周期表でハフニウムの下に位置する(エカハフニウム).103番元素ローレンシウムでアクチノイド系列が終了するので,最初の超アクチノイド元素である.1964年,ソビエト(当時)のG.N. Flerov(フレロフ)は,ドゥブナ原子核合同研究所で,310 cmサイクロトロンを用いて 22Ne を113~115 MeV まで加速して 243Pu を衝撃して,自発核分裂で崩壊する質量数260の核種を得たと発表し,ソビエト原子力の父とよばれるI.V. Kurchatov(1903~1960年)にちなんでクルチャトビウム Kuと命名することを提案した.1969年に至り,カリフォルニア大学バークレー校のA. Ghiorsoらは,249Cf を 12C(71 MeV)と 13C(69 MeV)で衝撃して,質量数257~259のα崩壊する核種を合成したが自発核分裂は観測されなかったと報告.E. Rutherford(ラザフォード)にちなんでラザホージウムRfとよぶことを提案した.IUPACは,105番元素にソビエトグループにちなんだ元素名を採用したので,104番元素にはこれを採択した(1997年).質量数253~268の同位体核種が知られており,261Rf は半減期65 s で 257No にα崩壊する.265Rf が半減期13 h という報告もある.[CAS 53850-36-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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