アクチノイド(読み)あくちのいど(英語表記)actinoids

デジタル大辞泉 「アクチノイド」の意味・読み・例文・類語

アクチノイド(actinoid)

原子番号89のアクチニウムから103のローレンシウムまでの15の元素の総称。いずれも放射性元素で、物理的、化学的に極めてよく似た性質をもつ。
[補説]アクチノイドの一覧
89 アクチニウムAc
90 トリウム(Th)
91 プロトアクチニウム(Pa)
92 ウラン(U)
93 ネプツニウム(Np)
94 プルトニウム(Pu)
95 アメリシウム(Am)
96 キュリウム(Cm)
97 バークリウム(Bk)
98 カリホルニウム(Cf)
99 アインスタイニウム(Es)
100 フェルミウム(Fm)
101 メンデレビウム(Md)
102 ノーベリウム(No)
103 ローレンシウム(Lr)

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精選版 日本国語大辞典 「アクチノイド」の意味・読み・例文・類語

アクチノイド

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] actinoids ) 八九番元素アクチニウムにはじまり一〇三番元素ローレンシウムにいたる、一五の放射性元素の総称。九三番元素ネプツニウム以後の元素は人工的につくられたもので超ウラン元素という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクチノイド」の意味・わかりやすい解説

アクチノイド
あくちのいど
actinoids

周期表第7周期第3族に属し、89番元素アクチニウムから103番元素ローレンシウムまでの15元素の総称。古くはアクチニド系列あるいはアクチノンなどとよばれたこともあるが、これらの用語は現在では認められていない。また、アクチニウム以外の14元素をアクチニドといっていたが、しだいに混同されアクチニウムをも含むように使われたことがある。現在ではアクチノイドに統一されている。いずれも放射性元素であるが、ネプツニウム以後の元素は、1939年以降人工的に製造された元素である。周期表中ではランタノイドの下に位置し、希土類元素とよく似た化学的性質をもっている。とくにアメリシウム以後の元素は、対応するランタノイドとよく似ている。しかし、ランタノイドが原子価3を中心とし、2あるいは4をとるものがあるのに対し、アクチノイドは原子価3のほか、4、5、6をとる元素が多くあるなど、かなり違った点もみられる。なお、原子番号93番以上の元素を超ウラン元素、また、97番以上の元素を超キュリウム元素ということもある()。

[中原勝儼]


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化学辞典 第2版 「アクチノイド」の解説

アクチノイド
アクチノイド
actinoids

原子番号89~103までの15元素の総称.アクチニウムAc,トリウムTh,プロトアクチニウムPa,ウランU,ネプツニウムNp,プルトニウムPu,アメリシウムAm,キュリウムCm,バークリウムBk,カリホルニウムCf,アインスタイニウムEs,フェルミウムFm,メンデレビウムMd,ノーベリウムNo,ローレンシウムLrの総称.原子番号57~71までのランタノイドに対応.ランタノイドを原子の電子構造から4f元素というのに対し,アクチノイドを5f元素ということもある.各元素とも多数の同位体よりなり,これらはすべて放射性である.しかもNp以下はすべて人工元素である.Th,U,Puは,原子力平和利用のうえでとくに重要な元素である.Am以降の元素はきわめてわずかな量しか入手できないが,実験室では,物理的,化学的性質が詳細に調べられている.核外電子配置のうえからは,アクチノイドは5f電子が順次満たされていく系列であるが,6d,5f電子の軌道エネルギーが接近しているために,4f副殻が内部に隠されていて化学作用に関与しない4f元素の場合と異なり,5f電子も比較的活性である.ランタノイド,アクチノイドの原子価は表に示すように,ランタノイドの場合は一般に三価がきわめて安定であるのに対し,アクチノイドの場合ははるかに複雑で,より高い原子価が安定である場合がある.アクチノイドのほかの元素からの分離,または相互間の分離には,原子価を変化させておき溶媒抽出あるいはイオン交換樹脂を用いて行われることが多い.アクチノイドのイオンはランタノイドのイオンより加水分解をうけやすく,また錯化合物をつくりやすい.なお,IUPAC 1970年規則で使わないように勧告されたアクチニド(actinides)は,1990年規則でアクチノイドとともに使用が認められた.

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改訂新版 世界大百科事典 「アクチノイド」の意味・わかりやすい解説

アクチノイド
actinoids

原子番号89番のアクチニウムAcから103番のローレンシウムLrに至る15元素の総称。このうちアクチニウムを除いた14元素をアクチニドactinidesと呼ぶこともある。すべて放射性で,93番のネプツニウムNp以下は人工の元素である。原子の最外部の電子配列は正確に知られていないものが多いが,一般に5fn6s26p67s2または5fn6s26p66d17s2と推定され,5f電子の数が0から14まで増加していく様子は,4f電子が同様に増加するランタノイドとよく似ている。このため,周期表ではランタノイドの下に置かれ,これと一括して〈内部遷移元素〉〈fブロック元素〉などとも呼ばれる。しかし化学的にはより複雑な挙動を示し,表に示すような種々の酸化数の化合物をつくるが,キュリウムCm以下の元素は3価の状態が安定となり,ランタノイドとの類似が著しくなる。ランタノイドよりも種々の錯体をつくりやすい。アクチノイドに属する元素の相互の分離や確認,またランタノイドとの分離には,イオン交換樹脂法などが用いられる。
アクチニド収縮
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百科事典マイペディア 「アクチノイド」の意味・わかりやすい解説

アクチノイド

周期表第7周期第III族に属し,原子番号89のアクチニウムAcを代表として化学的性質のよく似た103番元素ローレンシウムLrまでの15元素をアクチノイドと総称し,アクチニウムを除いた14元素をアクチニド元素という。アクチニウムに似た元素という意味であり,アクチニウムを含めるときはアクチニウム系列元素ともいう。いずれも放射性元素で,93番元素ネプツニウムNp以下は人工元素である。化学的性質はランタニド元素に似る。
→関連項目アクチノンシーボーグ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アクチノイド」の意味・わかりやすい解説

アクチノイド
actinoids

原子番号 89のアクチニウムから 103のローレンシウムまでの 15元素の総称。アクチニウムを除く 14元素をアクチニドといったこともある。周期表3族アクチニウム,トリウム,プロトアクチニウム,ウラン,ネプツニウム,プルトニウム,アメリシウム,キュリウム,バークリウム,カリホルニウム,アインスタイニウム,フェルミウム,メンデレビウム,ノーベリウム,ローレンシウムで,いずれも放射性元素であり,ネプツニウム以下は人工の超ウラン元素である。 5f電子が逐次充填されていく系列であるが,系列内の物理的,化学的性質の類似性は 4f電子の充填が行われるランタノイドにみられるほど著しくはない。

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