自動車の運転を補助する装置で、エンジンの吸気機構を機械的に制御し、アクセルペダルを踏み続けなくても設定した速度を維持して走行できる機能。自動車の巡航走行時に使われる。オートクルーズともいう。アメリカなど広い国土を長時間にわたって自動車を走行させることが多い国から利用が始まった。運転時間が長い場合などに、疲労を軽減する効果がある。また、道路の勾配の変化にかかわらず速度を維持することが可能なため、渋滞の軽減に役だつともいわれる。
導入の初期段階では機械的なメカニズムだけに頼っていたが、電子制御技術が発達し、単に速度を維持するだけではなく、運転者の負担を軽減し、事故を未然に防ぐ技術の一つとして、アダプティブ・クルーズコントロールadaptive cruise controlに進化している。
旧来のクルーズコントロールでは、車は運転者が設定した速度で走ることが可能だが、車間距離を一定に保つには運転者がブレーキ操作を行わなければならなかった。これに対して、アダプティブ・クルーズコントロールは「定速走行・車間距離制御装置」とも称され、ミリ波レーダーやカメラなどのセンサーやコンピュータ(CPU)を備え、これらが前方を走行する車両との距離だけでなく、相対的な速度や、複数車線を走る際には他車線を走行する車両と自車の位置関係を判断し、前方車両との車間距離を一定に保持する「追従走行」を可能としている。
前方の車両が速度を落としたり、別の車両が割り込んだりした場合には、システムがエンジン制御に介入し、減速または制動(衝突被害軽減ブレーキ機構)も行う。
各センサーによって、自動車や歩行者などの存在を三次元的に認識することで、アダプティブ・クルーズコントロールだけでなく、誤発進抑制機能、衝突軽減ブレーキ、車線逸脱警報機能と組み合わされた運転支援システムとして備えられている。メーカー各社とも機構的にはほぼ共通だが、その呼称は異なる。
量産車にクルーズコントロールを備えたごく初期の例には、1958年にアメリカのクライスラー・インペリアルがある。また、日本では1964年(昭和39)に発売されたトヨタ・クラウンエイトがある。運転支援システムの日本での採用例は、1999年(平成11)9月に富士重工業がレガシィ・ランカスター・シリーズに追加発売したランカスターADAが初になる。現在の運転支援システムの初期段階といえるもので、2基のカメラによる画像認識装置、クルーズ・コントロール、ナビゲーションシステムを備えていた。
[伊東和彦 2016年5月19日]
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