クロハゲワシ(その他表記)Aegypius monachus; cinereous vulture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロハゲワシ」の意味・わかりやすい解説

クロハゲワシ
Aegypius monachus; cinereous vulture

タカ目タカ科。全長 1~1.2m,翼開長 2.5~3.1mで,旧世界産のタカ類ではヒマラヤハゲワシ Gyps himalayensis と並んで最大の一種。体は黒褐色。は大きいが,尾は比較的小さい。頭部は皮膚の色が青灰色だが,綿羽に覆われ,若鳥は黒いが,成鳥になると色が薄くなる。乾燥した草原高地にすみ,標高 6000mをこす山岳地帯にも姿を現す。動物の死体を食べる腐食性。ヨーロッパ南部から中央アジアまで不連続に,チベット自治区から中国東部,北部にかけては連続して繁殖分布する。多くは留鳥だが,一部はパキスタン南部からインド西部とヒマラヤ山脈東アジアに渡って越冬する。日本には迷鳥としてまれに各地に渡来する。動物園でよく飼養されている。(→ワシ猛禽類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロハゲワシ」の意味・わかりやすい解説

クロハゲワシ
くろはげわし / 黒禿鷲
black vulture
[学] Aegypius manachus

鳥綱タカ目タカ科の鳥。ヨーロッパ南部、中央アジア、チベットモンゴルアフリカなどに分布し、日本にはまれに渡来する迷鳥で、全長約1.1メートル、翼開長約2.7メートルにも達する巨大なワシ。腐肉主食とする。

高野伸二


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世界大百科事典(旧版)内のクロハゲワシの言及

【ハゲワシ(禿鷲)】より

…シロエリハゲワシGyps fulvus(イラスト)はヨーロッパ南部,アメリカ北部,ヒマラヤまでのアジアの山地に分布する。日本にはクロハゲワシAegypius monachusがまれな冬鳥または迷鳥として渡来する。コンドル【竹下 信雄】
[象徴,民俗]
 ハゲワシは古代エジプト人にとって太母神,特にハトホルを象徴する聖鳥である。…

※「クロハゲワシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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