グイード・ダレッツォ(読み)ぐいーどだれっつぉ(英語表記)Guido d'Arezzo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グイード・ダレッツォ」の意味・わかりやすい解説

グイード・ダレッツォ
ぐいーどだれっつぉ
Guido d'Arezzo
(992/995ころ―1050ころ)

中世イタリアを代表する音楽理論家。その名により、トスカナ地方アレッツォの出身と推定されるが、確証はない。1020年以前にポンポーサのベネディクト会聖マリア修道院に入り、4線を用いた新しい記譜法による交唱頌歌(しょうか)集を起草した。1023年ごろアレッツォ近郊に移住し、25、26年ごろ主著『ミクロログス(音楽小論集)』を著した。28年ごろ教皇ヨハネス19世に召されてローマに行く。その後、ヨハネ頌歌からとった6音節(ut, re, mi, fa, sol, la)による階名唱法の基礎を定めた『未知の歌についての書簡』を著し、アレッツォ近郊アベラーノの修道院長として世を去ったと思われる。階名唱法を容易にする「グイードの手」と称する方法は、おそらく後代の案出である。

樋口隆一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グイード・ダレッツォ」の意味・わかりやすい解説

グィード・ダレッツォ
Guido d'Arezzo

[生]995頃.アレッツォ
[没]1050.5.17. アベラーナ
イタリアの音楽理論家。今日の記譜法が生れる直接の動機となった2線間を3度の音程間隔として構成された記譜法を提唱。また楽譜に書かれた歌を,ヘクサコードにあてはめた6つのシラブル (ウト,レ,ミ,ファ,ソ,ラ) のみで歌わせることにより容易な視唱の方法を発案,のちの階名唱法が生れる基礎をつくった。主著『ミクロロゴス』 Micrologus Guidonis de disciplina artis musicae。

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