音楽において個々の音を表記するための記号で,その形態によって音の相対的な長さを,また音部記号を伴う譜表上の位置によって音の高さを示す。一方,音の休止の相対的な長さは休符によって示され,音符と休符は楽譜を構成する最も基本的な記号である。音符・休符の形態と用法は歴史的に変化したが,ここでは17世紀以降の西洋音楽で慣用されているものについてのみ述べる。
すべての音符は丸い符頭(たま)をもち,譜表上で符頭が占める位置によって音の高さを表示する。符頭には白いもの(全音符と2分音符)と黒いもの(4分音符以下)の2種類がある。全音符は符頭だけから成るが,2分音符以下の音符は符頭の上または下に付けられた符尾(棒)という垂直線をもち,8分音符以下の音符では符尾の末端に鉤(かぎ)(はた)が付けられる(図a)。なお,音符を総称して俗に〈おたまじゃくし〉ともいう。
一般に用いられる最長の音(休)符は全音(休)符,最短の音(休)符は64分音(休)符で,ある音(休)符はその次下位音(休)符の常に2倍の長さをもつ。たとえば,等である。しかし,これはあくまで相対的な長さ(相対比)であり,各音(休)符の絶対的な長さは楽曲の速度(テンポ)によって変動し,たとえば緩徐な曲の4分音符が急速な曲の2分音符より長い持続時間をもつこともありうる。また,各曲において基本となる音符(単位音符)の種類は拍子記号によって示され,たとえば4分の3拍子(3/4)なら4分音符が,8分の3拍子(3/8)なら8分音符が拍節の単位音符となる。慣用の音符・休符の形態と種類を示せば表のとおりである。
音符の符頭または休符の右側に小点を付けたものを付点音(休)符といい,その小点は音(休)符の長さの半分を意味する。したがって付点音(休)符はもとの音(休)符の1.5倍の長さになる(図b)。2個の小点をもつものを複付点音(休)符といい,第2の点は第1の点のさらに半分の長さを意味する。したがって,複付点音(休)符はもとの音(休)符の1.75倍の長さになる(図c)。なお,ある音が小節線をまたいで延長されるときは,付点を用いずタイで結ぶのが現在の書法である(図d)。
ある音符が,その曲の拍子に固有の分割以外の方法で等分割されるとき,その一連の音符を連音符という。たとえば2/4拍子の場合,本来二つの8分音符に分割されるべき4分音符を3等分したとき,これを3連音符という(図e)。連音符にはいろいろな種類があるが,3連音符が最も多く用いられる。
(1)8分音符より短い音符がいくつもつづくとき,特に器楽においては,それらを連鉤(れんこう)(符桁)という横線でつなぐことが多い(図f)。(2)全休符は全音符1個分の休止を意味するだけでなく,拍子にかかわりなく1小節間の休止を示すときにも用いられる。また,ある声部が何小節もつづけて休止するときは,(図g)のように数字を用いて示す。
執筆者:角倉 一朗
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音を示す記譜法上の記号。形によってその時間的比率を、譜表上の位置によってその音高とともに示す。ある音符のもつ時間的比率を価値、音価、時価などという。音の休止の時間的比率を示す記号は休符(休止符)といい、その譜表上の位置は原則として固定されている。音符は符頭、符尾、鉤(かぎ)などからなるが、その本質的な部分は符頭で、この譜表上の位置によってその音高が示される。鉤付きの音符が連なる場合には連鉤(れんこう)が用いられる。付点は、符頭や休止符の右に打たれ、これはその音符の半分の音価をもつ。付点が二つの場合は複付点音符といわれ、二つ目の付点は一つ目の付点の半分の音価をもつ。連音符とは、たとえば2等分すべき音価を3等分するなどの特殊な分割法をとる一連の音符のこと。連音符の内部に休符や細分を含むものもある。
[南谷美保]
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