グエノン(英語表記)guenon

改訂新版 世界大百科事典 「グエノン」の意味・わかりやすい解説

グエノン
guenon

霊長目オナガザル科オナガザル属Cercopithecusに属する旧世界ザルの総称ゲノンとも呼ばれる。サハラ砂漠以南のアフリカ大陸に,十数種が分布している。ほっそりした体格の中型のサル類で,頭胴長は40~50cm,尾長はそれよりやや長く60~70cmである。

 グエノン類の多くは樹上生活者で森林にすむが,サバンナモンキーは地上性が強く,サバンナあるいは草原に生息している。一般に雑食性で,木の葉,果実,昆虫,小動物などを食べている。10~50頭前後の群れをつくることが多いが,種間,種内の変異は大きい。アカオザルコビトグエノンには,100頭を超す大きな群れの例が報告されている。サバンナモンキーやコビトグエノンは複雄複雌の集団をつくるが,森林性のモナモンキーブラッザモンキーなどは単雄集団をつくる。妊娠期間は6~7ヵ月,1産1子で2子はまれである。

 熱帯降雨林では,種を異にするグエノンやマンガベイが混群を形成することが知られている。さらにグエノン類では,異種間の交配の結果,野生状態で雑種が生まれた例が,少なからず報告されている。なお,グエノンはアレンモンキー属AllenopithecusパタスモンキーErythrocebusも含めてより広い意味に用いることもある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グエノン」の意味・わかりやすい解説

グエノン
ぐえのん
guenon

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科オナガザル属に含まれる動物の総称。この属Cercopithecusの分類に定説はないが、11種に分類する立場と、約20種近くに細分する立場とがある。アフリカ産で、多くの種は熱帯多雨林とその周囲の疎開林に分布し、樹上生活を送っているが、ただ1種サバンナモンキーC. aethiopsサバナ(サバンナ)に進出している。森林性の種の分布域は互いに大幅に重複し、野生状態で種間の混血の例が知られている。体つきはほっそりとしており、体長40~70センチメートル、尾長60~100センチメートルのものが多い。頬(ほお)、のど、鼻などに明色の毛が局所的に生え、そのパターンが種ごとに異なっている。植物性食物を中心とした雑食性で昆虫も食べる。10~50頭の複雄群をつくる例もあるが、カメルーンの森林での調査報告によれば、ただ1頭の雄を含む小形の単雄群をつくる種が多いという。群れは通常1~2平方キロメートルの遊動域をもち、その中で生活している。

[川中健二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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