霊長目オナガザル科の旧世界ザル。地上性が強く,サハラ砂漠以南のアフリカ大陸のサバンナ地帯に広く生息しているため,その名がついている。西アフリカ産のものをミドリザル(グリーンモンキーgreen monkey),スーダン,エチオピア産のものをグリベットモンキーgrivet monkey,南アフリカ産のものをベルベットモンキーvervet monkeyと呼んで区別することがある。
頭胴長は50~60cmで,尾はそれよりもやや長い。体重は4~5kgである。頭から背にかけては黄褐色で,のどから腹にかけては白色,顔の色は黒い。優位な雄は赤い肛門の周辺部,青い陰囊,その間の白い線を雌に誇示するように見せ,独特のディスプレーを行う。なわばりをもつ十数頭から50頭程度の複雄複雌群を形成し,個体間に明確な順位関係が認められる。雑食性で,果実,昆虫などを食べる。ケニアでは一年中繁殖しており,妊娠期間は6~7ヵ月,1産1子である。
執筆者:高畑 由起夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科の動物。アフリカのサハラ砂漠以南の広い地域に分布する。地方差が大きく、グリベットモンキーC. aethiops(中央部から東部)、ベルベットモンキーC. pygerythrus(南部)、ミドリザルC. sabaeus(西部)の3種に分類する考え方もある。体毛は灰色がかったオリーブ色で、顔は黒、肛門(こうもん)の周囲は赤く、雄の陰嚢(いんのう)は青い。オナガザル属のなかではサバナ(サバンナ)地帯に進出した唯一の種で、川辺の林を好み、かなりの時間を地上で過ごす。果実、草の実、木の葉、昆虫などを食べ、10~50頭の複雄群をつくる。優位な雄は、尾をあげ、赤や青で彩られた会陰(えいん)部を劣位者に誇示して優位性を示す。
[川中健二]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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