グッピー(読み)ぐっぴー(英語表記)guppy

翻訳|guppy

デジタル大辞泉 「グッピー」の意味・読み・例文・類語

グッピー(guppy)

カダヤシ目カダヤシ科の卵胎生淡水魚。雄は全長3センチほど、雌はそれより大きく6センチほどになる。一般に雄は雌よりも色彩模様や、尾びれなどの形が美しく変化に富む。南アメリカ北部の原産。観賞用として品種改良が盛ん。

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精選版 日本国語大辞典 「グッピー」の意味・読み・例文・類語

グッピー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] guppy ) カダヤシ科の淡水魚。南アメリカ北部の原産で、観賞魚として名高い。雌は全長六センチメートルに達するが、雄の最大は三センチメートル。体は細長くメダカに似ている。飼育改良されて、色彩、斑紋、尾びれの形などに変異のある、多数の品種がつくられている。卵胎生。にじめだか。百万魚。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グッピー」の意味・わかりやすい解説

グッピー
ぐっぴー
guppy
[学] Poecila reticulata

硬骨魚綱トウゴロウイワシ目グッピー科の熱帯淡水魚。南アメリカ北部のベネズエラギアナ、ブラジル北部、トリニダード島バルバドス島に分布し、河川にすむ。日本には観賞用として移入され、飼いやすいので広く普及している。また、温泉地の川や琉球(りゅうきゅう)諸島などで野生化している。雌は体長6センチメートルになるが、雄は3センチメートルにしかならない。体は細長くメダカに似る。雌は体が淡褐色で尾も短いが、雄は体色も変異に富み、尾も大きく形や色彩もさまざまであるので、美しい品種が多くつくられている。また、繁殖力が強く、水草を繁茂させた水槽中に雌雄を入れておくと、特別に管理しなくても交尾が行われて仔魚(しぎょ)の数が増えてくる。

 飼育の適水温は22~24℃で、低温に弱く17~18℃になると活動できない。卵胎生なので親魚に似た姿で産まれる。雄の臀(しり)びれは変形して交接脚(きゃく)(ゴノポディウムgonopodium)となり、雌の体内に精子を送り込み体内受精を行う。精子は雌の体内に長期間蓄えられ、1回の交尾で数回受精させることができる。普通1か月に1回の割合で産出される。産仔(さんし)数は雌の大きさによって異なり、最大は150尾以上。生まれたての稚魚は他魚や親魚に食べられてしまうおそれがあるので、孵化(ふか)用の水槽や、サラン網などで隔離する。稚魚の産出は早朝に行われるので、水槽が1個しかない場合でも、毎朝、表面に集まった生まれたばかりの稚魚をすくって、水槽中に浮かせた孵化器(市販のもの)の中に移せばよい。生後数日から10日もたてば、親魚に食べられなくなるので、いっしょにしてもよい。餌(えさ)は人工固形餌料(じりょう)、ブラインシュリンプ(節足動物のアルテミア)やイトミミズなどである。

[中坊徹次]

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改訂新版 世界大百科事典 「グッピー」の意味・わかりやすい解説

グッピー
guppy
Lebistes reticulatus

メダカ目カダヤシ科の淡水魚。グッピーの名は命名者の一人グッピーLechmere Guppyに由来する。中央アメリカから南アメリカ北部,カリブ海の島などを原産地とする。メダカにやや似ており,観賞用熱帯魚としてはもっともポピュラーである。体長は雄で3cm,雌ではその倍になる。体色とひれの形がことに雄において変異に富み,美しい姿といろどりをもつ多くの品種がつくられている。卵胎生で,雄はしりびれが変形してできた交尾器を備え,これで雌の輸卵管内に精子を送り込む。精子は雌の体内で長期間生存し,1回の交尾で数回の受精とその後の産仔(さんし)が可能となる。雌はふつう1ヵ月前後の間隔で各回数十尾の仔魚を生む。本種は狭い水槽の中でもよく繁殖し,病気にもかかりにくいので,実験材料として愛用される。また,カダヤシと同様にボウフラを好んで食べるため,マラリアカ駆除の目的で他所への移殖が試みられた。低温に弱いが,日本でも温泉地付近で野生化した例がある。
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百科事典マイペディア 「グッピー」の意味・わかりやすい解説

グッピー

カダヤシ科の淡水魚。いわゆる熱帯魚中最も一般的なものの一つ。雄は全長3cm,雌は6cm。雄のしりびれは変形して交尾器となっている。また色彩やひれの形が著しく変化に富み,多くの品種が作り出されている。原産地は南米北部およびバルバドス,トリニダードなどカリブ海の島。日本では南伊豆の温泉地帯の水路で野生化している。卵胎生。繁殖がはやく,病気にもかかりにくいので遺伝の実験などにも用いられる。
→関連項目カダヤシ熱帯魚

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グッピー」の意味・わかりやすい解説

グッピー
Poecilia reticulata; guppy

カダヤシ目カダヤシ科の熱帯魚。観賞用として広く飼育されている(→観賞魚)。体長 5cm内外。人工的に改良され,色彩,鰭の形状などを異にするさまざまな品種がつくりだされた。一般に雌のほうが大きく,雄は小さいが美しい。胎生で,1回に 2~120尾の仔魚を産む。仔魚は 2~3ヵ月で成熟する。尾鰭に赤の細かい模様をもつレッドグラス,尾鰭の上葉や下葉が剣状に伸びたソード,尾鰭が長く開いたベールテール,体に縞模様をもつキングコブラ,白色に近いアルビノなどの品種が知られる。南アメリカのベネズエラからガイアナ原産。

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世界大百科事典(旧版)内のグッピーの言及

【熱帯魚】より

…初心者でも飼育繁殖が容易であり,品種改良も盛んに行われているので,よく普及しているグループである。(a)グッピーguppy∥Poecilia reticulata 南アメリカ北東部原産。体長は雄(イラスト)3cm,雌(イラスト)6cm。…

【熱帯魚】より

…海水魚の繁殖はスズメダイ類の一部の種類について専門家による実績がある程度で,容易ではない。 グッピー,ソードテール,プラティなどの卵胎生魚は,孵化(ふか)してから産み出されるので,ふつうに飼育をしていても繁殖する。しかし,親も含めて成魚は稚魚を食べるので,それを防ぐのには水草を水面まで繁茂させて,稚魚の隠れ場をつくってやるとかなり効果がある。…

※「グッピー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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