アルテミア(その他表記)Artemia salina

デジタル大辞泉 「アルテミア」の意味・読み・例文・類語

アルテミア

《〈ラテンArtemia salinaから》無甲目アルテミア科の小形甲殻類。体長約1センチで、ホウネンエビに似る。ヨーロッパアメリカなどの塩湖生息。卵が乾燥によく耐え、飼育しやすいことから、魚類の餌として利用される。シーモンキーなどの商品名で観賞用としても売られる。ブラインシュリンプ

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改訂新版 世界大百科事典 「アルテミア」の意味・わかりやすい解説

アルテミア
Artemia salina

別名ブライン・シュリンプbrine shrimp。南日本の水田に夏季に現れるホウネンエビに似ており,ともに背甲がない。無甲目ホウネンエビモドキ科の体長1cmくらいの小型甲殻類。世界に広く分布しているが,とくに,ヨーロッパやアメリカ大陸などの塩分の濃い水たまり,塩田内陸の塩湖に生息している。淡水から海水の3倍以上もの濃い塩水までの非常に広い範囲の塩分濃度に耐えて生存できる。すむ水の塩分濃度によって体や体後部にある尾叉(びさ)の形が変化するため,一時は多くの種に分けられていた。この類の卵(耐久卵)は乾燥によく耐えるが,また,このような脱水状態を経過しないと孵化(ふか)しない。この性質を利用して,製塩所の塩田などで繁殖したアルテミアの耐久卵を多量に集め,十分乾燥させたものが熱帯魚店などで売られているブライン・シュリンプ・エッグである。この耐久卵は湿気さえ与えないように保存しておくと,数年間を経ても孵化する能力を失わない。この耐久卵を海水と同程度くらいの塩水に一昼夜ほど入れておくと,卵からノープリウス幼生が孵化してくる。アルテミアの幼生は,このように必要なときに必要な分量を孵化させて熱帯魚や稚魚などのほか,種々の水生動物の幼生を飼育するときの餌として用いるのに便利であり,適しているのでよく使われる。アルテミアには両性が現れて有性生殖をするもの,雌だけが現れて処女生殖によって繁殖するものなど種々の系統がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルテミア」の意味・わかりやすい解説

アルテミア
あるてみあ
brine shrimp
[学] Artemia salina

節足動物門甲殻綱無甲目アルテミア科に属する水生小動物。英名をそのまま読んでブラインシュリンプとよぶこともある。また、ノープリウス幼生を熱帯魚の稚魚の餌(えさ)として使うことが多く、シーモンキーという商品名もある。孵化(ふか)直後のノープリウス幼生は体長0.4ミリメートルほどで、成体は約1センチメートルになる。体は細長くて11胸節、9腹節からなり、背甲をもたない。胸部には遊泳肢(ゆうえいし)があり、順次動かして、あおむけになって泳ぐ。1属1種であるが、多くの地方的品種に分かれ、有性生殖をするものと単為生殖をするものとがある。また、直接ノープリウス幼生を産む卵胎生(らんたいせい)と、耐久卵を産む卵生のものがある。耐久卵は一度乾燥しないと孵化しない。乾燥した卵を海水につけると10~20時間でノープリウス幼生が孵化し、微小な藻類や原生動物を食べて12回脱皮すると成体になる。全世界の塩湖に生息し、日本でもかつては瀬戸内海沿岸の塩田でみられた。

[武田正倫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルテミア」の意味・わかりやすい解説

アルテミア

「ブラインシュリンプ」のページをご覧ください。

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