グルクマ(その他表記)Rastrelliger kanagurta

改訂新版 世界大百科事典 「グルクマ」の意味・わかりやすい解説

グルクマ
Rastrelliger kanagurta

スズキ目サバ科の海産魚。グルクマはもともと沖縄地方の呼称で,和名としては一時アキフラキアが提唱されたが,現在はグルクマが一般的である。本種はサバにきわめて近縁であるが,体の側扁度が強く,また羽状の長い鰓耙さいは)があるので区別できる。南日本から台湾,東南アジア,インド洋に広く分布する。全長40cmになる。沖縄では春と秋の2回沿岸を回遊するが,朝と夕方に垂直方向の回遊を行っている形跡もある。産卵前の成魚では体側に2~3条の黄色の縞が見られるが,産卵を終えると消失するといわれる。細長くて数の多い鰓耙を利用してプランクトンを食べる。沖縄では敷網巻網で漁獲する。東南アジアでは本種の近縁種とともにプラトウと呼ばれ,漁業上重視されている。プラトウはサバよりもさっぱりとした味で,生で食べる以外にも塩焼き,干し魚,薫製などで賞味される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グルクマ」の意味・わかりやすい解説

グルクマ
ぐるくま
pigmy mackerel
[学] Rastrelliger kanagurta

硬骨魚綱スズキ目サバ科に属する海水魚。南日本からインド洋にかけて分布する沿岸性の魚で、とくにインド洋の沿岸域においてはもっとも重要な食用魚である。サバ属に近縁であるが、体高が大きく体が側扁(そくへん)していること、鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)と口蓋骨に歯がないこと、鰓耙(さいは)(えらの咽頭(いんとう)側の面に列生する突起)が羽毛状で長いこと、などで区別される。これらの形態的特徴は明らかにプランクトン食に適応したもので、本種の餌(えさ)はさまざまのプランクトンによって構成される。大きさは20~25センチメートルで、寿命は1年程度のようである。おもに集魚灯を併用した巻網で魚獲され、鮮魚または塩蔵品として消費される。グルクマ属3種のうち本種とR. faughniが日本近海に分布している。

[沖山宗雄]

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世界大百科事典(旧版)内のグルクマの言及

【サバ(鯖)】より

…スズキ目サバ科サバ亜科に属する海産魚の総称。日本近海にはマサバScomber japonicus(イラスト),ゴマサバS.australasicus(イラスト),およびグルクマRastrelliger kanagurtaの3種が分布する。このうち,グルクマは熱帯系で沖縄以南に分布し,漁獲量も少ないため,ふつうサバといえばマサバとゴマサバを指す。…

【サバ(鯖)】より

…スズキ目サバ科サバ亜科に属する海産魚の総称。日本近海にはマサバScomber japonicus(イラスト),ゴマサバS.australasicus(イラスト),およびグルクマRastrelliger kanagurtaの3種が分布する。このうち,グルクマは熱帯系で沖縄以南に分布し,漁獲量も少ないため,ふつうサバといえばマサバとゴマサバを指す。…

※「グルクマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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