グレトリー(その他表記)André-Ernest-Modeste Grétry

改訂新版 世界大百科事典 「グレトリー」の意味・わかりやすい解説

グレトリー
André-Ernest-Modeste Grétry
生没年:1741-1813

ベルギー生れのフランス作曲家。1761-66年ローマに留学,ペルゴレージに心酔し,オペラの作曲を志す。68年からパリに定住し,オペラ・コミックの作曲家として活躍した。代表作《獅子心王リシャールRichard Cœur de Lion》(1784)は,〈救出オペラrescue opera〉(フランス革命前後に民衆から愛好された)の先駆けとなった。彼はディドロ,グリムと親交があり,彼ら百科全書派の主張を舞台の上で具現してみせたといわれる。《音楽論集Mémoires ou essais sur la musique》(1789,97)など,彼自らの論著もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グレトリー」の意味・わかりやすい解説

グレトリー
Grétry, André-Ernest-Modeste

[生]1741.2.11. リエージュ
[没]1813.9.24. パリ近郊モンモランシー
ベルギーの作曲家。 1759年よりローマ留学,その後オペラの作曲家としての道を歩む。ローマで 65年初めてインテルメッゾ『ぶどう収穫人』を発表。 67年よりパリに移住。そこで彼のオペラは爆発的人気を呼び,その後数多くの作品を書き,オペラ・コミックの新しい時期を画した。おもな作品は,『もの言う絵』 (1769) ,『ゼミールとアゾール』 (71) ,『獅子心王リチャード』 (84) 。 1790年代に入ってからはオペラの作曲をやめ,文学・哲学方面の著作に没頭した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレトリー」の意味・わかりやすい解説

グレトリー
ぐれとりー
André Ernest Modeste Grétry
(1741―1813)

ベルギー出身でおもにフランスで活躍した作曲家。リエージュに生まれる。1760年からローマでカザーリに作曲を師事、ローマ滞在中にインテルメッツォ『ぶどう摘み女』(1765)を発表。ジュネーブを経て68年からはパリに住み、オペラ・コミック作曲家としての地位を確立した。彼は作曲技法上の革新よりも、簡明な構成、親しみやすい旋律主眼を置き人気を博した。歌劇作品は60曲を超えるが、現在はほとんど上演されない。彼は多くの著作を残し、そのなかには音楽評論、回想などのほか、音楽の枠を超えた鋭い時評も含まれている。

[美山良夫]


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