ケイ素化合物(読み)ケイソカゴウブツ

化学辞典 第2版 「ケイ素化合物」の解説

ケイ素化合物
ケイソカゴウブツ
silicon compound

ケイ素の一般的酸化数は4と-4で,水素化物,炭化物,酸化物,硫化物,窒化物,ハロゲン化物,金属元素のケイ化物をつくる.水素化物(水素化ケイ素)はシランともよばれ,同族炭素の水素化物に似たSi-Si骨格をもつ化合物をつくる.炭素をケイ素で置き換えた,各種の有機ケイ素化合物(シラザン,シラ炭化水素など)が知られている.炭化ケイ素SiCはダイヤモンド型三次元巨大分子で,カーボランダムとよばれ,ダイヤモンドとルビーとの中間の硬度をもつ.シリコーンシロキサン結合をもつ有機ケイ素化合物の重合体.二酸化ケイ素SiO2は,岩石中にSiを中心とする四面体配置SiO4の三次元構造として存在する.ガラス,セメントの原料.一酸化ケイ素SiOは,空気中高温下で酸化されて二酸化ケイ素になる褐色の無定形固体.塩化ケイ素は四塩化ケイ素SiCl4,六塩化ケイ素Si2Cl6がもっとも普通のものである.硫化ケイ素には一硫化ケイ素SiS,二硫化ケイ素SiS2が知られ,SiS2は1090 ℃ で昇華する灰白色の固体.窒化ケイ素Si3N4は1850 ℃ 以上で分解するが,高温における機械的特性にすぐれている構造用セラミックスとして,自動車部品,軸受けや耐熱絶縁体として利用される.窒化ケイ素繊維は,電気炉電熱器などの電気および熱絶縁材料として有望である.炭化ケイ素は研磨剤,耐熱高強度材料に用いられる.炭化ケイ素繊維耐熱性と耐酸化性にすぐれた高強度繊維で,宇宙船,ガスタービン用のセラミックス複合材料に強化剤として用いられる.二ケイ化モリブデンは空気中で安定な高温発熱体で,オーブン,調理板,電気炉などに使われる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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