最新 地学事典 「ケラトファイアー」の解説
ケラトファイアー
keratophyre
優地向斜と称された火山性物質に富む厚い堆積物中にスピライトとともに産し,アルバイトの出現を特徴とし,緑泥石・緑れん石など緑色片岩相ないしはそれ以下の変成相の鉱物を含む中性~珪長質の細粒火山岩。角斑岩とも。Na2Oに富むことが多い。もともとは密な石基をもつ石英を含む正長石斜長石岩に対して用いられた。長石が正長石ならカリウムケラトファイアー。スピライトとの密接な産状はH. Dewey et al.(1911)によってスピライト・スイーツとして注目された(Vallance,1989)。20世紀に入って,ケラトファイアーの成因については,アルバイトなどの低温変成相に特徴的な鉱物を二次的なものとする考えと,初生的にマグマから晶出したとの考えに明瞭に分かれた(G.C.Amstutz, 1968)。前者の考えは現在広く承認されており,海水や塩分との反応による物質の交代作用を伴う一種の変成作用によってケラトファイアーが形成されたと考えられている。後者の考えは,Benson(1913~15)によってオーストラリア東部のナンドル地域(ニューイングランド褶曲帯)のスピライトとケラトファイアーに変形がほとんどみられないことを理由に主張されたが,今日ではこのケラトファイアーも低変成作用を受けていることが明らかになっている。C.J.Hughes(1975, 89)などは明瞭に変成岩の一種と指摘。kerasはギリシア語の「角」の意。
執筆者:渡辺 暉夫
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

