日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケータイ依存」の意味・わかりやすい解説
ケータイ依存
けーたいいぞん
個人用小型通信端末(携帯電話、PHS、スマートフォンなど)の提供する機能・サービス(通話、電子メール、ゲームなど)を頻繁に、また長時間にわたって使用した結果、自分の意思でその利用を控えられず、平常心を保てなくなった状態をいう。仲間とのメールの送受信件数が1日数十件を超え、やりとりに追われるうちにケータイ依存に陥るケースが多くみられる。携帯電話やスマートフォンが手元にないと落ち着かず、電波の届かないところへ行きたがらなかったり、メールができないと情緒不安定になったりする。このため、日常生活に支障をきたし、健康を損なうようになる。携帯電話依存症や携帯依存症、携帯中毒などともいわれるが、ケータイ依存も含めてすべて医学的に認められた病名ではない。
ケータイ依存に関しては、とくに子供への影響が心配されており、2011年(平成23)に警察庁が発表した「児童が使用する携帯電話に係る利用環境実態調査」報告書によると、携帯電話を小学生(4~6年生)で約2割、中学生で約4割、高校生のほとんどが所有(家族との共有を含む)し、そのうちのインターネット利用は小学生でも5割以上にのぼっている。東京都医学総合研究所が2012年に発表した中高生を対象にした調査結果によると、夜間の消灯後に携帯電話を使う頻度が高いほど、睡眠不足のために心の健康状態が悪くなる傾向があるという。
[編集部]