PHS(読み)ぴーえいちえす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「PHS」の意味・わかりやすい解説

PHS
ぴーえいちえす

簡易型携帯電話のこと。personal handyphone systemの略。デジタル方式のコードレス電話で、アナログ式の家庭用コードレス電話より使用範囲は広く、盗聴されにくい。PHSの特徴は、使用周波数が1.9ギガヘルツ帯であるために、携帯電話や自動車電話の0.8、1.5ギガヘルツに比べて高品質の情報伝送ができることである。一方、使用できる範囲が半径100~200メートル以内と狭いため、駅ビル、電話ボックス、電柱などに多くの中継局が必要であるが、中継局は小規模ですむためビル内、地下街にも設置できる。

 PHSは、コードレス電話を屋外でも使用するという発想から、イギリスのテレポイント・システムを参考に日本で規格化した電話システムで、1995年(平成7)から日本でサービスを開始したものである。高速移動体向きでは無かったものの、NTTの固定電話網をそのまま利用でき安価であったので、急速に普及して1997年には日本で700万件の加入者を数えた。その後携帯電話の情報伝送の高速化、料金の低廉化やサービスの多様化におされて、PHS事業者数、加入者数ともに減少したものの、2005年に衰退歯止めがかかり、2011年時点での加入者数は410万件となっている。他方中国、タイベトナムなどで普及が進み、世界での契約数は2005年に8000万件を超えた。2009年には伝送速度最高毎秒20メガビットの次世代PHSによる高速データ通信サービスが始まり、2011年にはソフトバンクが、PHS技術による携帯電話並みの伝送速度毎秒100メガビットのサービスを開始している。

[岩田倫典]

『石川温著『図解携帯電話業界ハンドブック』(2009・東洋経済新報社)』『谷口功著『図解入門よくわかる最新通信の基本と仕組み――通信技術の意味と役割を基礎から学ぶ 通信の常識』(2011・秀和システム)』

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PHS
ピーエイチエス

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