改訂新版 世界大百科事典 「コウモリカズラ」の意味・わかりやすい解説
コウモリカズラ
Siberian moonseed
Menispermum dauricum DC.
山地に普通なツヅラフジ科の落葉つる性木本。雌雄異株。全体無毛。葉は互生,腎円形で3~7浅裂し,下面やや白色をおびる。葉は縦状。葉の形がコウモリに似ているところから,コウモリカズラの名がある。5~6月,円錐花序に多数の花をつける。萼片6枚,花弁9~10枚でらせん状に配列。雄花ではおしべ20本,葯は4裂する。雌花ではめしべ3~4本。核果は腎臓形で黒紫色に熟す。日本では北海道,本州,四国,九州と広く分布しさらに,朝鮮,中国,東シベリアにまで及ぶ。中国では根と茎を蝙蝠葛と呼んで,民間薬として利用する。
同属のM.canadense(英名moon seed)が北アメリカに分布しており,公園木として利用されることがある。
執筆者:寺林 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報