ホタテガイの貝殻に盛った料理。貝殻をさすフランス語のコキーユから名づけられた。コキールは英語読み。フランスのノルマンディー地方でホタテガイがたくさんとれるので、その貝殻を利用したのが始まりといわれる。ホタテガイのほか、ハマグリ、磁器ガラス、金属、耐熱陶磁器などで貝殻の形をなぞってつくった器などに盛った料理は、みなコキールとその用いた材料の名をつけて、たとえばカキのコキール、エビのコキールなどとよぶ。
材料はアワビ、エビ、カニ、貝柱、白身魚、鶏肉、ハムなど淡泊なものに、各種野菜を用い、単独または2種以上を混ぜ合わせてつくる。これらの材料を下調理して白ソースまたは他のソースで和(あ)え、貝殻に盛ってパン粉、おろしチーズ、溶かしバターをふりかけ、上火のきいた強火の天火で表面に焼き目をつけて仕上げる。貝の縁(ふち)にマッシュポテトを絞り出して飾る場合もある。これは普通温かい料理として夕食に用いるが、昼食に出すこともある。また、冷製として供してもよく、なかなか上品で美味な料理である。
[小林文子]
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