日本大百科全書(ニッポニカ) 「コツバメ」の意味・わかりやすい解説
コツバメ
こつばめ / 小燕蝶
[学] Ahlbergia ferrea
昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。北海道より九州にかけて広く分布、各地にまれではない。対馬(つしま)および種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)以南の南西諸島には産しない。外国では朝鮮半島に分布する。はねの開張25ミリメートル内外。はねは表裏でまったく色彩が異なり、表面は暗青色であるが、裏面は鉄さび色で目につく斑紋(はんもん)はない。年1回の発生で、早春から春にかけて現れる。チョウにおけるスプリング・エフェメラル(春のはかない命の意味)の代表的なもの。幼虫の食草はガマズミ(スイカズラ科)、アセビ、シャクナゲ、ヤマツツジなど各種のツツジ類(ツツジ科)、リンゴ、エゾノウワミズザクラ(バラ科)、アカショウマ、トリアシショウマ(ユキノシタ科)などの花、つぼみ、実など。晩春に蛹化(ようか)し、蛹(さなぎ)の状態で夏、秋、冬を越して翌春に羽化する。
[白水 隆]