健康の保持や病気の予防・治療などのために,日光に身体の一部または全部をさらすことをいう。日光を皮膚にあてることによって皮膚と全身の抵抗力を増進させ,また体内のプロビタミンDを活性化してビタミンDに変え,くる病を予防する効果がある。抗結核剤が現れる1940年代の後半以前には,日光浴は結核の治療法の一つとしての位置を占めていたが,現在ではその地位を失っている。むしろ結核,心臓病,高齢者には日光浴は有害である場合が多いことが知られている。また人によっては日光皮膚炎や皮膚のしみの増加を起こすこともあり,注意を要する。強い紫外線は眼の結膜・角膜への害作用もあり,また強すぎる赤外線は眼の水晶体に悪影響を与えるので,眼の防護が必要である。なお乳児に日光浴をさせる場合には,まず外気浴に慣れてからにする。すなわち,生後1ヵ月たったら戸外に連れて出て外気浴をする。それに慣れてから日光浴をさせる。足や手の一部分からだんだん日光にあてる範囲を広げ,また時間も5分,10分というように延ばし,30分を限度とする。ただし頭を日光にあててはいけない。また暑すぎる日や寒い日などには日光浴は避けるべきである。
執筆者:溝口 勲
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太陽光線(日光)に体をさらす健康法をいう。とくに乳幼児期は、旺盛(おうせい)な発育をしている反面、疾病にかかりやすい。このため、疾病を軽くすませたり、かかりにくくするために、日光に適度に親しむことがたいせつである。日光は皮膚の血管を拡張して血行を盛んにし、皮膚の機能を高めるとともに、寒冷に対する抵抗力を増進させる。また、日光のなかの紫外線は、皮膚に含まれるエルゴステロールをビタミンDに変化させ、カルシウムやリンの同化作用を強めて骨の発育を促し、くる病を予防する。日光浴では、頭と顔に日光が当たらないように帽子を着用し、日光浴のあとでは水分を補給するよう心がける。
[井上義朗]
太陽光線に含まれる紫外線は皮膚の基底層まで達して、しみやしわの原因となるほか、長時間の曝露(ばくろ)は日光角化症や皮膚がんなどの原因となると考えられている。紫外線が強くなる午前10時ころから午後2時ころの時間帯や夏季は直射日光を避けるようにする。
[編集部]
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出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
…ビタミンDは卵黄,魚,肉,肝臓,バターなどに多く含まれており,また市販のミルクには必要量が添加されているので,ミルクをよく飲む子どもや幼児・学童で普通の食事をとっている子どもはDやカルシウム,リンの欠乏をきたすことは少なく,くる病となる子どもは最近著しく減少している。
[日光浴とくる病]
日光の紫外線は動物体内のプロビタミンDを活性化してビタミンDに変える作用があるので,日光浴はくる病の予防に効果がある。日照時間の少ない北欧やイギリス(このために,くる病は〈イギリス病〉ともいわれる),日本では東北,北陸地方でとくにくる病の発生率が高いのはこのためである。…
※「日光浴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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