コミュニティスポーツ

改訂新版 世界大百科事典 「コミュニティスポーツ」の意味・わかりやすい解説

コミュニティ・スポーツ

市町村などの地域社会を基盤とする,スポーツを通じて生まれたある一定の地域的広がりと,同志感情によって支えられるスポーツの存在形態の総称と考えてよい。日本において〈コミュニティ・スポーツ〉という言葉が強調されはじめたのは,都市化の進展や大衆社会化現象などにより地域社会の崩壊が顕著となった昭和40年代の中ごろからである。それまでのスポーツは,学校や職場を中心に行われる傾向が強かった。しかし,生活における時間的,経済的ゆとりと楽しみや生きがいを求める生活意識の変化によって,家族や親しい仲間と生活に身近なところでスポーツを楽しむ傾向が強くなってきた。また,社会的には,健康で,明るく,豊かな社会づくりをめざす新しいコミュニティ意識の形成が重要な課題となっている。こうして,スポーツ活動を通じてのコミュニティづくりが,スポーツの新たな現代的意義としてとりあげられるようになった。ヨーロッパでは,このような生活の中のスポーツを地域におけるスポーツクラブで実施する傾向が強く,クラブがコミュニティ・スポーツの中心的役割を果たしている。日本でも,近年主婦テニスバレーボールなどにみられるように,ヨーロッパのようなスポーツクラブが育つ気運がみられる。クラブづくりに必要なスポーツ行事やスポーツ教室の開設を含めて,コミュニティ・スポーツとしての自発的,自主的なスポーツクラブを生活の身近なところに数多く育てることがたいせつな時代となってきている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

ドクターイエロー

《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...

ドクターイエローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android