日本大百科全書(ニッポニカ) 「コリント戦争」の意味・わかりやすい解説
コリント戦争
こりんとせんそう
紀元前4世紀初めの、スパルタと他のギリシアの強国との間の戦争。前4世紀の初頭、小アジアのギリシア都市の帰属をめぐってスパルタと争ったペルシアは、軍資金をもった使節をギリシアに送り、反スパルタの軍事行動を扇動した。前395年テーベがスパルタに反抗し、アテネ、コリントKórinthos、アルゴスもこれに続いた。陸上では前394年にコリント地域をめぐる戦闘でスパルタとその同盟軍が勝利を得たが、海上ではペルシア艦隊が、アテネ人コノンらの指揮のもと、スパルタのエーゲ海支配を破り、ラコニア沿岸を脅かした。前393年以降戦線は膠着(こうちゃく)状態となり、スパルタはペルシアとの和平を画策し始めた。一方、前389年からアテネ艦隊は小アジア沿岸で活発な行動を展開し、ペルシア王の不信を招いた。結局、ペルシアはスパルタ側につき、前386年締結のアンタルキダスの条約で戦争は終結し、スパルタの覇権が一時的に強化される結果となった。
[篠崎三男]