ゴヨウイチゴ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴヨウイチゴ」の意味・わかりやすい解説

ゴヨウイチゴ(五葉苺)
ゴヨウイチゴ
Rubus ikenoensis

バラ科の落葉つる性木本。本州北部亜高山帯に分布する。茎は初め草質で直立しているが,やがて倒れて横に長くはい,全体に針状の細いとげがある。葉は長い柄があってまばらに互生し,葉身が鳥足状に分裂した5小葉からなるので,この名がある。小葉は柄がなく,菱形先端が急にとがり基部は楔形,縁には重鋸歯があり,質は薄い。7月頃,枝の先に細い柄を出して1~2個の花を下向きに開く。萼筒 (→ ) は皿状で細いとげと腺毛があり,萼片は5枚で先端が3裂することが多い。花弁は退化し,しばしばない。おしべは多数。果実は紅熟する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴヨウイチゴ」の意味・わかりやすい解説

ゴヨウイチゴ
ごよういちご / 五葉苺
[学] Rubus ikenoensis Lévl. et Vnt.

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉低木。茎は地上をはう。全体に刺(とげ)がある。葉は掌状複葉で小葉は5枚。6、7月、新枝の先に、径約1センチメートルの無花弁の花を1または2個下向きに開く。集合果球形、赤く熟し、食べられる。本州の中部・北部の亜高山帯にみられる。本種によく似たヒメゴヨウイチゴR. pseudojaponicus Koidz.は本州の中部・北部、北海道の亜高山帯に分布し、全体に刺がなく、花弁5枚の花が上向きに開くので区別できる。

[鳴橋直弘 2020年1月21日]

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