日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイスミシティ」の意味・わかりやすい解説
サイスミシティ
さいすみしてぃ
seismicity
特定の地域における地震の時間・空間分布を、一般にサイスミシティとよぶ。しかし単に、地震活動の程度について、サイスミシティが高い、あるいは低い、などということが多い。地震によって放出されたエネルギーなど、特定の物理量によってこれを定義する試みもあるが、広く受け入れられる表現式はない。また地震の発震機構などをも含めてサイスミシティとよぶことがある。
地球上の地震活動は、地震帯とよばれる帯状の地域に集中している。サイスミシティは地域ごとに異なるだけでなく、同じ地域でも時間とともに変化する。広い地域をとると、地震の規模別頻度には「グーテンベルク・リヒターの関係」(G・Rの式ともいう)が成り立ち、マグニチュードが一つ増加すると、発生頻度は約10分の1となる。
大地震の震源域では、大地震発生後は余震が数年から数十年続く。その後定常的な活動に戻るが、次の大地震発生前には、活動度がきわめて低くなり、静穏域が形成されることが多い。周辺の活動は逆に活発となって、いわゆるドーナツ状の活動域がしばしば認められる。大地震のマグニチュードはグーテンベルク・リヒターの関係から推定される値よりも1以上大きいことが多い。このような大地震をその震源域の固有地震とよぶ。
[島崎邦彦]