比較的大きな地震(本震)の発生後に、周辺で発生する地震。本震の直後に多く、時間とともに次第に少なくなる。大きな余震による揺れは、本震の揺れと同程度になることがある。本震の発生により岩盤が不安定な状態になり、それを解消するために余震が発生すると考えられている。余震の起きる場所は、当初は本震で破壊された領域とだいたい一致するが、その後広がっていく場合がある。
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地震(本震)がおきたあとに、引き続きおきる地震。地震の規模や数の大小はまちまちだが、ほとんどの地震は余震を伴う。一般に震源が浅い地震は余震が多く、震源が深いときには少ない。深い地震には余震がないこともある。
本震が大きいときには余震も大きいことがあり、経験的には本震よりもマグニチュード1ほど小さい地震が最大の余震であることが多い。しかし、どんな大きさの余震がいつおきるかはわかっていない。また、余震は被害を生じることがある。とくに本震で弱った建築物や土木構造物が余震で倒壊することもあり、警戒が必要である。
余震の数は、時間とともに指数関数の形で減るので、しだいに余震の回数は減っていくが、なかなか終わらない。感度の高い地震計を使って小さい地震まで観測すると、大きい地震の余震が何十年以上たっても続いているのがわかる。たとえばアメリカのミズーリ州とケンタッキー州の州境では、1811年から1812年にかけての3か月弱の間に、マグニチュード8を超える大地震が続けて3回もおきた。ニュー・マドリッド地震といわれ、この余震は約200年以上経過した現在でもまだ続いている。ところで余震としておこる地震がほかの地震と性質が違うわけではないので、余震だけをほかの地震と区別することはできない。そのため地震活動が盛んなところでは、余震はほかの地震に紛れてしまう。日本と違ってアメリカのほとんどの地域では通常の地震の活動レベルがごく低いので、これほどあとになって小さな地震がおきても、余震に違いないとわかるのである。日本では内陸でおきた大地震、濃尾地震(のうびじしん)(1891)の余震が数十年間観測されていたが、その後は普段の地震活動に紛れてしまった。
学問的には、余震は本震がどんな地震だったのか、どんな地震断層がどうすべって本震をおこしたのかを詳細に研究するための大事なデータを提供する。このため大地震のあとに震源近くに臨時に地震計を設置して、数週間から数か月間余震の観測を行うことが多い。
なお地震には、本震―余震型としておきるもの以外に、双子地震や群発地震もある。「本震」がおきたときには、これらのどれに属するのかわからない。これらの地震では、あとからおきる地震のほうが大きい例もあるので注意が必要である。
[島村英紀]
『島村英紀著『地球の腹と胸の内――地震研究の最前線と冒険譚』(1988・情報センター出版局)』▽『島村英紀著『日本人が知りたい巨大地震の疑問50――東北地方太平洋沖地震の原因から首都圏大地震の予測まで』(サイエンス・アイ新書・ソフトバンククリエイティブ)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
大きい地震が発生すると,引き続いて小地震が発生する場合が多い。これを余震という。余震の発生は地震現象の最も普遍的な特徴の一つといってよい。本震が大きいほど余震の数が多く,また余震の規模も大きい。しかし,本震の大きさに比べて余震は一段と小さく,マグニチュードにして1強以上小さい場合が多い。つまりマグニチュード7の本震があれば,最大の余震のそれは6程度である。ただし,余震の活動度は地域により異なり,また地震の深さが増すにつれて小さくなる。余震の特徴はその活動が時間とともに非常に規則的に減衰することである。余震の数が双曲線的に減少するという大森公式は(その後若干の改良が加えられたが)よく成り立っている。余震の起こっている範囲,つまり余震面積は本震のマグニチュードとよく対応しており,本震直後に余震が続発した範囲はおよそ本震によって地殻ひずみのエネルギーが著しく解放された,いわゆる震源域を示すものと考えてよい。ただし,余震域は時間とともに,ある時は一方向に,ある時は周辺にしだいに拡大する傾向がある。なぜ余震が発生するのかという説明としては,大きい地震断層が変位したためにその両端部をはじめ,その周辺に応力集中が生じ,これによって時間とともに次々と小地震が発生して安定化していくプロセスであるという機構が考えられている。また地殻の粘弾性的性質により,あるいは地下水の存在によって,主破壊の後,その余効として応力変化ないし強度の変化が起こり小破壊が続発するという考えもある。
執筆者:茂木 清夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…地震の直後に気象庁が発表する震源地は震央の地名であるから,○○沖地震というように震央が海域の地震でも,震源域は内陸に及んでいることもある。震源域の位置や形は,その地震の後に起こる多数の余震の震源の分布や,地震に伴う地殻変動その他を分析して求められる。 地震には震源がほとんど地表付近のごく浅い地震から,700kmも深い所に起こるものまで,さまざまな深さのものがある。…
※「余震」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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