余震(読み)よしん

日本大百科全書(ニッポニカ)「余震」の解説

余震
よしん

地震本震)がおきたあとに、引き続きおきる地。地震の規模や数の大小はまちまちだが、ほとんどの地震は余震を伴う。一般に震源が浅い地震は余震が多く、震源が深いときには少ない。深い地震には余震がないこともある。

 本震が大きいときには余震も大きいことがあり、経験的には本震よりもマグニチュード1ほど小さい地震が最大の余震であることが多い。しかし、どんな大きさの余震がいつおきるかはわかっていない。また、余震は被害を生じることがある。とくに本震で弱った建築物や土木構造物が余震で倒壊することもあり、警戒が必要である。

 余震の数は、時間とともに指数関数の形で減るので、しだいに余震の回数は減っていくが、なかなか終わらない。感度の高い地震計を使って小さい地震まで観測すると、大きい地震の余震が何十年以上たっても続いているのがわかる。たとえばアメリカのミズーリ州とケンタッキー州の州境では、1811年から1812年にかけての3か月弱の間に、マグニチュード8を超える大地震が続けて3回もおきた。ニュー・マドリッド地震といわれ、この余震は約200年以上経過した現在でもまだ続いている。ところで余震としておこる地震がほかの地震と性質が違うわけではないので、余震だけをほかの地震と区別することはできない。そのため地震活動が盛んなところでは、余震はほかの地震に紛れてしまう。日本と違ってアメリカのほとんどの地域では通常の地震の活動レベルがごく低いので、これほどあとになって小さな地震がおきても、余震に違いないとわかるのである。日本では内陸でおきた大地震、濃尾地震(のうびじしん)(1891)の余震が数十年間観測されていたが、その後は普段の地震活動に紛れてしまった。

 学問的には、余震は本震がどんな地震だったのか、どんな地震断層がどうすべって本震をおこしたのかを詳細に研究するための大事なデータを提供する。このため大地震のあとに震源近くに臨時に地震計を設置して、数週間から数か月間余震の観測を行うことが多い。

 なお地震には、本震―余震型としておきるもの以外に、双子地震群発地震もある。「本震」がおきたときには、これらのどれに属するのかわからない。これらの地震では、あとからおきる地震のほうが大きい例もあるので注意が必要である。

[島村英紀]

『島村英紀著『地球の腹と胸の内――地震研究の最前線と冒険譚』(1988・情報センター出版局)』『島村英紀著『日本人が知りたい巨大地震の疑問50――東北地方太平洋沖地震の原因から首都圏大地震の予測まで』(サイエンス・アイ新書・ソフトバンククリエイティブ)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「余震」の解説

余震
よしん
aftershock

大きい地震本震に続いて,その震源周辺で誘発されて起こる,多くは本震よりも規模の小さい地震の総称。余震は大地震で被害を受けた建物などの構造物をさらに不安定化させ,救助活動に支障をきたすなど,被害地域の住民にとってはストレスとなる。一般に,余震は本震発生後の数時間から数日の間に頻繁に発生し,大きい地震ほど余震も大きくなる傾向がある。また,大きい地震ほど余震の回数は多く,余震の起こる地域も広い。余震域の長径は,マグニチュードM )5の地震で 5km程度,M 7の地震では 50km程度であるが,モーメントマグニチュードM w)が 9をこえる 1960年のチリ地震や 2011年の東北地方太平洋沖地震などの巨大地震では 500~1000kmにも及んだ。余震の頻度は時間とともに規則的に低下していくのが普通である。日本の地震学者,大森房吉は 1891年の濃尾地震の余震を調べ,1894年に大森公式という余震の減少を表す式を提唱した。余震が発生する期間は数週間という短いものから,数十年という長いものまであり,1811~12年にアメリカ合衆国のミズーリ州で発生したニューマドリード地震のように世紀をまたいで今日まで余震が続く地震もある。なお,深発地震では一般的に余震は観測されない。また,本震と余震との区別のつかない地震群群発地震という。

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百科事典マイペディア「余震」の解説

余震【よしん】

大地震の後,震源地付近にしばらく引き続いて起こる地震。頻度(ひんど)は次第に減少し,その度合をグラフに描くと双曲線を示す。大きい地震ほど余震の起こる範囲(余震域)は大きく,本震の多くは余震域のへりに起こるといわれる。2011年3月11日に起きた,東日本大震災をもたらした東北地方太平洋沖大地震は,三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震の本震から間もなく,岩手県沖でM7.4,茨城県沖でM7.7,再び三陸沖でM7.5の大地震が続き,太平洋側の幅200km長さ500kmに及ぶ広範囲の震源域で起こった。その後,12年3月までに,M5以上の余震は約600回,M6以上が97回,M7以上が9回起こっている。さらに,震源域の周辺の余震のみならず,巨大地震によって,日本列島の東日本一帯に大きなひずみが生まれ,地盤にかかる圧力の力の変化で列島各地で大きな誘発地震や活断層地震が起こる可能性が警告されている。

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知恵蔵「余震」の解説

余震

本震の後に本震の震源域内、またはその近くに起こる小地震。震源が数十kmより浅い大地震は余震を多数伴うが、深発地震では観測されないことが多い。余震は本震の直後に多く、本震からの経過時間と共に次第に減る。余震の発生区域を余震域といい、本震の震源域とほぼ同じ意味。

(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)

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精選版 日本国語大辞典「余震」の解説

よ‐しん【余震】

〘名〙 大地震の後に続いて起こる小地震。主震・前震に対していう。比喩的にも用いる。ゆりかえし。〔英和和英地学字彙(1914)〕
※家族会議(1935)〈横光利一〉「秘密で云へしませんけれど、東京の兜町は余震がいってますのや」

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世界大百科事典 第2版「余震」の解説

よしん【余震 after shock】

大きい地震が発生すると,引き続いて小地震が発生する場合が多い。これを余震という。余震の発生は地震現象の最も普遍的な特徴の一つといってよい。本震が大きいほど余震の数が多く,また余震の規模も大きい。しかし,本震の大きさに比べて余震は一段と小さく,マグニチュードにして1強以上小さい場合が多い。つまりマグニチュード7の本震があれば,最大の余震のそれは6程度である。ただし,余震の活動度は地域により異なり,また地震の深さが増すにつれて小さくなる。

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世界大百科事典内の余震の言及

【地震】より

…地震の直後に気象庁が発表する震源地は震央の地名であるから,○○沖地震というように震央が海域の地震でも,震源域は内陸に及んでいることもある。震源域の位置や形は,その地震の後に起こる多数の余震の震源の分布や,地震に伴う地殻変動その他を分析して求められる。 地震には震源がほとんど地表付近のごく浅い地震から,700kmも深い所に起こるものまで,さまざまな深さのものがある。…

※「余震」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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