日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンカクヅル」の意味・わかりやすい解説
サンカクヅル
さんかくづる / 三角蔓
[学] Vitis flexuosa Thunb.
ブドウ科(APG分類:ブドウ科)の落葉性藤本(とうほん)(つる植物)。小枝は細く、毛がない。葉は長三角形または扁(へん)三角形で先がとがり、縁(へり)には浅い歯牙(しが)状の鋸歯(きょし)がある。葉の質は薄く、緑色で、表面は毛がなく、裏面は脈上に淡黄褐色の綿毛または短い毛がある。雌雄異株。花序は無毛の穂状円錐(えんすい)花序をなし、巻きひげはない。花は小さく黄緑色、花弁5枚、雄しべ5本で花糸は長い。果実は球形で黒く熟す。山地に普通に生え、北海道から奄美大島、朝鮮半島、中国に分布する。名は葉の形に基づく。つるを切ると、根からあがる水が切り口に出る。山入りの行者が、これでのどを潤すので「行者の水」の別名がある。
[籾山泰一 2019年10月18日]