サンティアゴデコンポステラ大聖堂(読み)サンティアゴデコンポステラダイセイドウ(英語表記)Santiago de Compostela

デジタル大辞泉 の解説

サンティアゴ‐デ‐コンポステラ‐だいせいどう〔‐ダイセイダウ〕【サンティアゴデコンポステラ大聖堂】

Catedral de Santiago de Compostela》スペイン北西部、ガリシア州の宗教都市サンティアゴ‐デ‐コンポステラにあるロマネスク様式の大聖堂。9世紀にアルフォンソ2世により建造、10世紀末にイスラム教徒に破壊された後、11世紀から12世紀にかけて再建。その後も増改築が繰り返され、ロマネスクからゴシック様式の移行期における傑作とされる彫刻家マテオによる聖堂正面「栄光の門」やスペインバロック様式の主祭壇などが制作された。中世以来、十二使徒聖ヤコブの墓を納めるヨーロッパ随一の巡礼聖堂として知られる。1985年、サンティアゴ‐デ‐コンポステラの旧市街が世界遺産(文化遺産)に登録された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

サンティアゴ・デ・コンポステラ大聖堂
さんてぃあごでこんぽすてらだいせいどう
Santiago de Compostela

スペイン北西部ガリシア地方のコンポステラ(星の場の意)に建つロマネスク様式の聖堂。1078年に起工され、1124年に最終的に身廊部が完成した。この聖堂は聖使徒ヤコブの墓を納め、11世紀以来ヨーロッパ中の巡礼者の集まる一大巡礼聖堂となった。フランスの各地から出発してピレネー山脈を越え、コンポステラへと至る幾本かの巡礼路沿いの要所宿駅には、11世紀後半に次々と類似した形態の聖堂が建造された。パリやベズレー、あるいはアルルを出発地とするこれらの巡礼路聖堂は、コンクのサント・フォア聖堂、トゥールーズのサン・セルナン聖堂などが今日も残るが、サンティアゴ大聖堂もオーベルニュ地方に発達したと思われるこの型を踏襲している。

 広い正面の扉口、半円筒穹窿(きゅうりゅう)の身廊部、交差穹窿あるいは4分の1穹窿の天井の側廊部、側廊部の階上間(トリビューン)、そして身廊左右の側廊は翼廊を通って内陣を一周する周歩廊へと続いている。なによりも、大ぜいの巡礼者を迎え入れ、堂内を一巡できるようになっている。周歩廊には放射状に多くの礼拝堂が設けられている。西正面扉口には荘厳な彫刻が施されて巡礼者たちを迎えるが、サンティアゴ大聖堂では1168年から88年に彫刻家マテオの制作になる「栄光の門」があり、年代的にみてすでにゴシック様式美術の到来を告げている。南側翼廊部の扉口を飾る彫刻群は1124年には完成していたと思われ、その華麗さから「金銀細工師の扉口」とよばれている。

[名取四郎]


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