日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンナッザーロ」の意味・わかりやすい解説
サンナッザーロ
さんなっざーろ
Jacopo Sannazzaro
(1456―1530)
一説にはサンナザーロSannazaroとも称される。イタリアの詩人。ナポリに生まれ、ナポリ王国フェデリーコ国王に宮廷人として仕え、1501年フランスに追放された王に従い、その死までフランスにとどまった。04年ナポリに戻り、南部イタリアの人文主義を代表する詩人として活躍した。ラテン語による『漁夫の歌』、『聖処女の出産』(1526)などの詩作品があるが、その最高傑作はイタリア語による『アルカディア』(1504)である。愛に傷ついた主人公の羊飼いシンチェーロは、理想郷アルカディアに逃避し、美しい自然や牧人の素朴な生き方に慰めをみいだそうとする。この作品では、詩と散文が交互に並べられ、ペトラルカやギリシア・ラテンの牧歌の影響を受けた流麗優美な文体が用いられており、田園牧歌の傑作として、17、18世紀にイタリアのみならず広くヨーロッパ諸国で大きな影響力をもった。
[竹山博英]