日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
サンフランシスコ・ジャイアンツ
さんふらんしすこじゃいあんつ
San Francisco Giants
アメリカのプロ野球球団。ナショナル・リーグ所属(西地区)。フランチャイズをカリフォルニア州サンフランシスコに置き、AT&Tパークを本拠地としている。球団名の変遷は、ニューヨーク・ゴサムズ(1883年)―ニューヨーク・ジャイアンツ(1885年)―サンフランシスコ・ジャイアンツ(1958年)。
1882年限りでナショナル・リーグから消滅したトロイ・トローヤンズの選手を利用してチームを構成し、ニューヨークをフランチャイズとする新球団として1883年に同リーグへ加盟。ゴサムズとしてスタートし、1885年にジャイアンツとなった。1904年には好投手クリスティー・マシューソンなどの活躍でリーグ優勝。ところが、ジョン・マグロー監督はワールド・シリーズでのボストン・ピルグリムス(現ボストン・レッドソックス)との対戦を拒否した。1905年もリーグ優勝。アメリカン・リーグの優勝はフィラデルフィア・アスレチックス(現オークランド・アスレチックス)であったが、ワールド・シリーズは無事に開催され、「世界一」となった。以降も1911年から3年連続リーグ優勝、17年にもリーグ優勝、さらに21年から4年連続リーグ優勝で、21年と22年はワールド・シリーズも制し、マグロー監督の下で黄金時代を築いた。強打のメル・オットーMel Ott(1909―58)と、スクリュー・ボールを武器にした左腕カール・ハッベルCarl Hubbell(1903―88)を擁した1930年代にも黄金時代が到来した。ハッベルが最多勝と最優秀防御率を獲得して最優秀選手(MVP)を受賞した1933年と36年、そして37年にもリーグ優勝し、33年にはワールド・シリーズでも勝った。通算ホームラン660本を打ったウイリー・メイズがデビューした1951年に14年ぶりのリーグ優勝。メイズが兵役から復帰した1954年にも優勝し、ワールド・シリーズでクリーブランド・インディアンスと対戦した。第1戦で、打球を見ずに背走して捕球した「ザ・キャッチ」とよばれるスーパー・プレーを見せたメイズの働きで「世界一」となった。1958年からサンフランシスコにフランチャイズを移転。2年間はシールズ・スタジアムを使用したが、1960年にキャンドルスティック・パークが開場した。1962年はリーグ優勝。両リーグ2地区制となった1969年からは西地区に配属された。1971年に地区優勝。好打者ウィル・クラークWill Clark(1964― )が1986年にデビューし、強打のケビン・ミッチェルKevin Mitchell(1962― )が87年の途中でサンディエゴ・パドレスから移籍してくると、同年は地区優勝し、89年にもリーグ優勝した。とくに1989年は、ミッチェルが本塁打と打点の二冠王となりMVPを受賞した。ワールド・シリーズではオークランド・アスレチックスと対戦したが、勝つことはできなかった。1993年から名将ダスティー・ベイカーDusty Baker(1949― )が監督に就任し、同時にピッツバーグ・パイレーツから強打者バリー・ボンズも獲得。2002年を最後にベイカー監督がシカゴ・カブスへ移籍するまで、この2人がチームを支えた。両リーグ3地区制が導入された1994年からも西地区所属となり、96年に本拠地を3COMパーク・アット・キャンドルスティック・ポイントと改称した。好打者ジェフ・ケントが移籍加入した1997年と、現本拠地(当時の名称はパシフィック・ベル・パーク)が開場した2000年に地区優勝。だが、両年ともディビジョン・シリーズで敗退した。2001年には、ボンズがシーズン新記録となるホームラン73本でタイトルを獲得し、4回目のMVPを受賞。2002年は初の首位打者となって史上最多5回目のMVPに選ばれ、チームもプレーオフに進出した。ディビジョン・シリーズでアトランタ・ブレーブスを降し、セントルイス・カージナルスも破ってリーグ優勝。しかし、ワールド・シリーズではアナハイム・エンゼルス(現ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)と対戦し、最終第7戦で敗退した。2003年も地区優勝したが、ディビジョン・シリーズでフロリダ・マーリンズに敗れた。翌04年、ボンズは4年連続となるMVPを受賞したが、チームは2位に終わった。
[山下 健]
2005年以降
2005年、06年はいずれも3位。2007年は11年ぶりの最下位となった。なお、日本人選手では、村上雅則(まさのり)投手(1964~65年)、新庄剛志(しんじょうつよし)外野手(2002年)、藪恵壹(やぶけいいち)投手(2008年~)がプレー。
1883年から2007年までの通算成績は、10180勝8723敗、地区優勝6回、リーグ優勝20回(うち1リーグ時代は2回)、ワールド・シリーズ優勝5回。
[編集部]