日本大百科全書(ニッポニカ) 「サン・レオン」の意味・わかりやすい解説
サン・レオン
さんれおん
Arthur Michel Saint-Léon
(1821―1870)
フランスのロマンチック・バレエ時代の舞踊家、振付者。パリ生まれ。ペローの『オンディーヌ』『エスメラルダ』に出演、跳躍のすばらしさで有名であった。ファニー・チェリートFanny Cerrito(1817―1909)の相手役で、1845年彼女と結婚。『大理石の女』(1847)、『悪魔のバイオリン』(1849)などを振り付け、パリ・オペラ座の教師となり、デベルテスマンづくり(本筋と関係なく、見せ場として挿入される宴会形式の踊り)に力を発揮。1859年ペテルブルグ帝室劇場に招かれ、バレエ・マスターを務めたのち、パリに帰り、『コッペリア』(1870)を振り付けた。舞踊記譜法を考案して『舞踊譜』(1852)を著したほか、自身の作品のなかでバイオリンを演奏し多才ぶりを示した。
[市川 雅]