日本大百科全書(ニッポニカ) 「コッペリア」の意味・わかりやすい解説
コッペリア
こっぺりあ
Coppélia
バレエ。3幕4場。ドリーブ作曲。台本は、E・T・A・ホフマン原作の『砂男(すなおとこ)』をもとにシャルル・ニュイッテルが脚色、のちにアルチュール・サン・レオンが一部改作。振付けサン・レオン。1870年5月パリのオペラ座で初演。年老いた玩具(がんぐ)職人コッペリウス博士が美しい少女の人形をつくっている。少年のフランツは向かいの家からのぞいてその人形を生きていると錯覚し、コッペリウスの家に侵入するが、博士にみつかって捕らえられてしまう。恋人のスワニルダが人形に扮装(ふんそう)してフランツを救う、といった筋になっている。原作『砂男』での、幻想的で少年が最後に自殺してしまう結末を避け、序幕と終幕に民族舞踊をちりばめて、楽しい作品になっている。ニューヨーク・シティ・バレエ団のものなど多くの改訂版があるが、ローラン・プチの改訂版は粋(いき)なコッペリウス博士を主役に据え、斬新(ざんしん)なものである。なお、原作の『砂男』はオッフェンバックによりオペラ『ホフマン物語』にも取り上げられている。
[市川 雅]