シカゴ・マーカンタイル取引所(読み)しかごまーかんたいるとりひきじょ(英語表記)Chicago Mercantile Exchange

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シカゴ・マーカンタイル取引所
しかごまーかんたいるとりひきじょ
Chicago Mercantile Exchange

アメリカのイリノイ州シカゴにある、世界最大級のデリバティブ(金融派生商品)取引所。略称CMEで、The Mercの愛称でも知られる。シカゴ商品取引所(CBOT:Chicago Board of Trade)と区別するため、日本ではシカゴ・マーカンタイル取引所の呼び名が定着している。原油穀物畜産物、金、不動産、天候デリバティブなどの商品先物のほか、株価指数金利外国為替などの金融先物やオプションを扱う。ロイターと共同開発した電子取引システムにより24時間取引が可能。2007年にシカゴ・マーカンタイル取引所がシカゴ商品取引所を買収して誕生した新会社CMEグループCME Group Inc.により運営されている。

 1898年にシカゴ商品取引所からバター・卵取引所Chicago Butter and Egg Boardとして独立し、1919年にシカゴ・マーカンタイル取引所に改組した。1969年に「先物取引の父」とよばれるメラメドLeo Melamed(1932― )が会長に就任し、伝統的なせり方式から電子取引システムへの転換を推進すると同時に、先物やオプションなど将来の取引価格を予想するデリバティブ商品の開発・上場に積極的に取り組み、世界有数のデリバティブ取引所の基礎を築いた。アメリカの変動相場制移行を受け、1972年には、シカゴ・マーカンタイル取引所内に国際通貨市場(IMMInternational Monetary Market)を開設し、日本円、イギリス・ポンド、西ドイツ・マルクなど7通貨の為替売買を開始した。以降、IMMの為替持ち高(ポジション)は世界の外国為替相場に影響を与えることで知られている。膨大なシステム開発投資資金をまかなって世界の取引所間競争を勝ち抜くため、2000年には従来の会員組織から株式会社化し、2002年に株式公開した。また、2011年(平成23)に大阪証券取引所(現、大阪取引所)と業務提携を締結している。

 CMEグループのデリバティブ売買高は、2013年時点で31億6147万単位と世界首位である。同グループは、2008年にはニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を買収し、2013年にはロンドンにヨーロッパ顧客向け取引所を開設するなど、デリバティブ部門で世界2位のインターコンチネンタル取引所と熾烈(しれつ)な世界市場争奪戦を繰り広げている。

[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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