シシガシラウミヘビ(読み)ししがしらうみへび(その他表記)pug-nosed snake eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シシガシラウミヘビ」の意味・わかりやすい解説

シシガシラウミヘビ
ししがしらうみへび / 獅子頭海蛇
pug-nosed snake eel
[学] Ophichthus obtusus

硬骨魚綱ウナギ目ウミヘビ科に属する海水魚。土佐湾西部と紀伊水道からとれている。体は円柱状で細長く、尾部は側扁(そくへん)する。頭部は小さく、全長のおよそ9%。肛門(こうもん)前長(吻端(ふんたん)から肛門までの長さ)は全長のおよそ43%、尾部は全長のおよそ57%。吻は短く、円錐(えんすい)状で、上から見ると鋭角にとがる。腹面の溝は短くて、前鼻孔(ぜんびこう)の中央から前縁までしか伸びない。吻の下面に無数の微小なひげがある。上下の口唇は口を閉じたときに合致する。下顎(かがく)は上顎に含まれる。下顎前端は前鼻孔の前縁に達する。前鼻孔は管状で、下唇の下縁近くまで伸びる。後鼻孔は口の中に開き、上唇の縁沿いに見えない。小さいカリフラワー状のひげが前鼻孔の基部の直後と、目の下にあり、後方のものは前方のものより小さい。口は目の後縁の下まで開く。上下両顎と鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)にある円錐歯は肥大しない。上顎に18~21本の歯が1列に、下顎に22~25本の歯が1列に並ぶ。上顎の前端に5本の歯がおよそ2列に、そして7本の歯をもつ歯帯があり、その後の鋤骨に35~40本の歯が1列に並ぶ。背びれは非常に低くて溝の中にあり、胸びれの先端の上方のわずかに前から始まる。臀(しり)びれは背びれと同じような溝の中にあるが、背びれよりもわずかに高い。胸びれは短い。脊椎骨(せきついこつ)数は148~153。体は腹側面では淡黄色で、背側面では黒褐色。吻端、下顎端、前鼻孔および尾部は淡色。肛門の周りは暗色。背びれと臀びれは黒い。最大全長は70センチメートルほどになる。水深30~150メートルから底引網でまれに漁獲される。食用価値はない。

[尼岡邦夫 2019年6月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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