改訂新版 世界大百科事典 「シナン」の意味・わかりやすい解説
シナン
Mimar Sinan
生没年:1490-1579
オスマン帝国の建築家。生年1489,没年1588という説もある。オスマン建築の隆盛期を築き上げ,ミケランジェロにも比較される。出身はアルバニア系ともいわれ,アナトリアのカイセリ近くの村に生まれ,セリム1世の時代にデウシルメを受けてイエニチェリ(常備歩兵)となった。設営将校としてスレイマン1世の遠征にも参加し,建築面でスレイマン1世時代にその真価を発揮した。手がけた建築物としては,ジャーミー(大モスク)83,マスジド(小モスク)51,イマーレト(社会福祉施設)57,キャラバンサライ19,ハンマーム(公衆浴場)3,その他数多くの廟,橋梁,城塞,石造水道,倉庫を含み,その影響はインドのイスラム建築にも及んだ。代表建造物はイスタンブールのシェフザーデ・モスク(1548),スレイマン1世のモスク(1557),エディルネのセリミエ・モスク(1575)などで,精緻で形態の優美をもって世に名高い。
執筆者:三橋 冨治男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報